セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 96本、 演劇 72本

P.S.アイラヴユー (2007/米)(リチャード・ラグラヴェネーズ) 75点

2008-10-23 13:57:57 | 映画遍歴
導入部が新婚らしい夫婦喧嘩。やっと仲直りして次のカットは、と、、。夫の死後何回目かの偲ぶパーティ。この展開は切れていてうまい。通常のドラマであれば新婚の夫婦喧嘩をするまでで1本の映画と成すが、その後から始まるのがいい。うまい。

この出だしで今までの既成の映画ではございません、とぶち上げたわけだが、その後は、ではいかがか、、。

不思議なことに死後に夫から手紙が来るのである。僕らは闘病中の夫を映像で見ていないから、彼の心情も計り知れず仕方なしにその手紙で夫の妻への愛情を知っていくわけだが、この辺りのスワンクの痛々しく繊細な感情表現はやはりうまい。あまり好きな女優ではないのであるが、そんなこと忘れてしまうぐらい永遠の人と別れさせられた女性をスワンクはひたすらに演じている。演技過剰にもならずさらりと哀しみを感じるいい演技だ。

彼女の取り巻きは同僚だったり母親だったり親友だったり皆どこにでもいる感じで逆に彼らとのシーンはコメディっぽく明るい。映画としてはバランスが取れている。もの足りないのは夫の代わりとなり得る男たちの表現だろうか、、。

男の僕から見て何か変だ。女から見た男を無理やり作ったみたいで、人形っぽい。特に人生相談に乗ってもらっていた男はラスト近くキスをするが、妹とのキスみたいだ、なんて肉体的にも彼女を欲しがっていた男がそんな感想を漏らすわけがないことを言わせる。これは女が描いた男であると思ったが、まあ得恋にならないので、追求しない。

やはりアメリカ映画なんだろう、恋人が死んだら生きている人は新たな人生を歩めよ、という明快な理で映画はラストを迎えるが、亡くなっても恋する人を想うその心情が全編を覆い、しっとりとハリウッドらしからぬ映画となっているのはこの映画の秀逸なところだ。昔の白黒映画ではこういうのが多かっただけに僕はこの映画を懐かしく、評価したいと想う。

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