期待以上の作品でした。チェホフの世界と、演劇をすることにより現実の苦悩に立ち向かう若人たち。そのリンクが世代を超えて青春というものを鮮やかに映し出す秀作でした。
24年ほど前の作品らしいが.現代とその本質は変わりはない。考えたら、僕も数十年前の、あの時を思い出しながら見ていた。若い時ほど真剣にヴィヴィットに人生を感じ取るものなのだ。きつかった当時を否が応でも思い出してしまった。
演劇、すなわち現代の高校生の言うところの部活をしている人なら、だれもが分かる青春の、喜び、かなしみ、恐さ、絶望等々若者が考えるすべてのものがこの作品に詰まっている。そんな珠玉の演劇である。
それを人は水色の空というのだろうか。鈍色のくすんだ色にも思える色だ。
チェホフのセリフが時折流れる。年を取ったらすべてが分かってくる、と。僕は年をとればとるほど何もかも分からなくなってくる。チェホフは嘘つきだ。人生なんて、分かったようで何も分からないまま人は死んで行くのだ。だからこそ幸せなのではないか。
俳優陣総勢20数人。まだまだ発声もできていない人もいるが、何たってみんな湯気がわくほど若い。その若さが、この劇の色合いを鮮やかに出している。作りものでない何かを感じる、青春をえぐったいい演劇だった。
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