演劇のエッセンスだけを舞台に昇華させた今時珍しき純演劇(純文学に倣って)である。しかし出し物は私小説ならぬ私演劇でもある。
常識外れの生き方から底辺の生活を強いられる真理。彼女、実質は祖父母に育てられる。母親から捨てられ父親からはカネだけを無心される。そんな真理にも自分の正直な心情を聞いてくれる相方ができる、、。
2月の前作の焼き直しというか、今回はずいぶん具体的で一つ一つの話が僕たちがそのまま、自分自身の過去へと辿り着く時間となっていることに気づく。真理の話なんだけど自然と、そう母親、父親に対して僕もこうだったなあとか、自分の子供時代から青年期へと回想してしまっている。
この舞台はそういう意味で稲田真理さんの舞台であるのだけれど、観客自身の生まれ育った歳月への旅をも強制するものなのである。その90分、とても大切で、またある意味、過酷な時間となってしまっている、、。
実はこの作品、昨日も別の演劇を見ているので今日はパスしようかと思っていたのだが、気になる劇団の伏兵コードでもあること、そして何よりあの大好きな長塚圭史氏さまが目の前に見られるなんて、ホント夢のごとし、嘘ではあるまいと、わっさわっさ出かけたのであります。(長塚さんの演劇を見るためわざわざ東京に行ったこともままありました)
アフタートークは30分ほどあったか、とても楽しい充実した時間で、ホント見に行ってよかった。忘れられない日となりそうです。
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