これほどの分厚い小説を読むのも久しぶりかなあ。540ページである。読み応えがある。けれど中之島近辺の様子も楽しく、また自殺から他殺に導いていく部分も、ミステリー的に面白く読ませてくれる。とあるホテルで起こったある老人の自殺事件の真相とは、いかに、。
クリスティー張りの設定なのだが、でもやはりかなり違うネ。有栖一人では名探偵ぶりを発揮しないからだ。けれども後半になって遅ればせながら火村が登場してからはミステリーの進行も俄然早くなるが、でも、真犯人の登場がパッとしませんぜ。
あんなことで完全殺人を行おうとする犯人の動機があまりに弱すぎます。しかも、読者への挑戦はないものの、これでは犯人をまともに推理できる人はいないはずではないのか。伏線へのデータが少なさすぎます。
ただ、540ページを退屈せず読ませるのはやはり拍手ものだろう。有栖川の進歩も感じられたミステリーであった。
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