今年大竹野作品を何本見ただろうか、、。彼の作品でも事件もの(この種類が一番多いような気もするが)は演出によってかなり印象が違って見える。
今回はシリアス調に演出している。他の作品に見られるような時代を強調したコメディタッチにはならない。あくまでリアルに徹している。重く、いや重苦しく、壮絶でさえある。
他の作品と違い、同じ事件ものでも、今回はカネのために自分の息子まで殺害するのである。この部分が、圧倒的に他の作品と隔絶している。
この息子殺戮場面がラストに語られる。観客はもう見たくない、聞きたくないと思っている。それほど怖い。人間がここまで間になり得るのか。ここに自分への問いも始まるのである。
そして、ふとこの哀しく重苦しい話はすとんと終わる。観客たちもそこでやっと苦から解放されるのである。一味違う秀作である。
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