作家の内面をそのまま吐露するというのは実に勇気が要ることだろうと思う。しかも、書きたいけれど書けない、その苦悩が毎日を苦しめるまさに日々地獄の話である。そんな私小説風の話をつぼさかが熱演する。
彼女の作品は何かを作るということ、それを表現するということ、その苦しみ・喜びを謳ったものが多い。今回もその流れではあるが、いつも受け側だった江戸ハレが編集者としての彼の人生を深くえぐる陰影のある演技を力演し、はっとする。
作家とその原稿取りだけのビジネス的な関係であるはずの彼らが、編集をする前は彼が作家を目指していた時があり、そのためつぼさかを深く理解していたことが分かる。
彼らは作家としてはペンを断つが、それでも別の表現方法を模索して二人して支え合い、新たな出発を図るというラストは、つぼさかの苦悩ぶりが強く劇を支配していたためか、急に明るい疾風が吹く力強い劇に変えてゆく。その見事さよ。
70分ではあるが、全体に4人の登場人物のおのれというものを執拗に追及していた展開のため、ある意味、逃げ場がない演劇だったため、このラストの明るさは救われる。彼女が最後に、太陽に向かって差し向けた手のひらは愛に満ちた幸せいっぱいのように思われた。
つぼさかは客演では男まさりの役柄が多い女優ではあるが、自分の劇団では実におのれの繊細な心情を表わすものが多い。今回の、この心情をとことん追求するその迫真性は高く評価していいだろう。また、今回は江戸ハレの演技開眼とでもいうべき抱擁力と力強さをも見た印象深い演劇となった。
阿倍野長屋も会場で敬遠(笑)
台本をUSBに入れて販売してたみたいですね(笑)
私の1月2月のラインナップは
【1月】
●第三劇場プロデュースユニット甘蛙『JEWELRY HOTEL』
●VOGA『Social talk』
●FSアカデミー×アカルスタジオ『おばけ少女スピカ~黒猫と屋根裏部屋の秘密~』
●立命館大学ミュージカルサークル『レ・ミゼラブル』
●柿喰う客『虚仮威』
●Case2『崖っぷちブルース』
●ステージタイガー『ファイアフライ』
●オッドテーラーズ×カヨコの大発明×Micro To Macro『3MAP』
●劇団ゴサンケ『Doroshy-ドロシー-』
●劇団ZTON「 覇道ナクシテ、泰平ヲミル【護王司馬懿編】」
【2月】
●劇団ハネオロシ『仁義なきROCK!』
●劇団太陽族『大阪レ・ミゼラブル』
●SKE48研究生『PARTYが始まるよ』
●Ryukoku Musical B.W『grease』
●アカルスタジオ『愛のメソッド SOLAチーム』
●アカルスタジオ『愛のメソッド Cチーム』
●GPP『Actor,Actress,andmore』
●劇団六風館『世迷言』
●創造集団ちいさなクルミーノ『ポ・イ・ン・ト』
●暁!三國学園製作委員会『暁!三國学園』
●石原正一ショー『筋肉少女17』
●劇団S.F.P『神様は許してくれない』
●劇団月光斜『猫と針』
●同志社小劇場『キレイ~神様と待ち合わせした女~』
●宝塚大学舞台芸術研究室『私とグリムの夢物語』
素敵なご感想をありがとございます。
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「さよなら父さん」から欠かさず観てます。前回の堺は行けませんでしたが、、。
今回は、本当に作家として演技者として一皮むけた作品で、ずっと見てきたファンとしても一つの区切りのつく作品でなかったかなあと思いました。
昨夏の「寿歌」も立派でしたね。次の作品は来年になりそうですが、次回オリゴ党の照明をされるとか、出本氏も出るし、見に行きます。
頑張って!