久々に京都駅の伊勢丹に行く。といっても買い物ではなく、絵画展である。今まで何回行っただろうか、と思われるほどユトリロは好きな画家である。母親のヴァラドンとの同一展示も過去幾回か行っている。それまで大したことないなあと思っていたが、今日じっくり見てお母さんも画家としてはそこそこの腕前だったことが分かる展覧会である。これには少々驚く。
今まで僕の中で彼女を過小評価していた嫌いがありました。作品点数はユトリロと変わらないぐらいあり、正当な評価ができます。でもだいたいの人たちはみんなヴァラドンが好きではないと思います。男遍歴のすごすぎること、ユトリロの友人を(息子と同じぐらいの年齢)横取り(?)して結婚してしまったり、まあ日本人には考えられないほど自由奔放な女性です。絵もそんな強いタッチが色濃く表れています。
今回の展覧会で驚いたのは母親ヴァラドンの男関係を一枚の図で表記していたことでした。これは美術展示の世界では珍しいことです。きれいごとにはしないこれからの展覧会のあり方を示し、とても面白いことだと思いました。
相変わらずモンマントルでの寂しい色の絵が多いユトリロですが、実際はそれほど外に出ることはなく(出ると近所のワルにいじめられたということらしいです)絵葉書を見て街の風景を自宅のアトリエで描いていたそうです。それでも、ユトリロの心を絵葉書を借りて描いているだけであり、芸術的には全く遜色はない。
僕は「白の時代」を過ぎたあたりからの、バカでかい尻の張った女性の後姿を通りに描くのがあまり好きではなかったのですが、恐らく母親嫌い(憎しみ)がこの後姿に込められていたのではないでしょうか、、。
でも芸術家は本人が悲劇であればあるほど、我々市井の人間には強く心に響くものがあります。ユトリロの描くモンマントルの空はほとんど灰色がくすんでいる。いい色である。
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