自前の劇場を持つ劇団である。そこそこ立派な劇場で、天井までの高さもある。出し物は地方の中小スーパーの話である。隣町に大型商業ゾーンが出来るという。さて、このスーパーは生き残ることができるのか。
店員さん、新米店長などの日常がじっくり描かれる。スーパーという親近感のある話なので、とても他人事と思えない何かがずっと存在する。このスーパーもこの街に乗り込んできた時には、今の商店街に同じ思いをさせたらしい。
肉売り場の55才の男も、実は商店主の父親が不幸を舐めていたことが分かってくる。町の盛衰は同じ時間の繰り返しなのか。
そして、それから1年経って、このスーパーもこの街から退却することになる。
大まかな話はだいたい想像通りだったが、小道具の使い方とか、音の使用が実に繊細だ。舞台切り替え時の細工も、あれだけの時間でなかなか凝っている。早い。こなれた劇団だと思う。
けれど、何ともこの劇には、希望というものがほとんどない。人間、希望がなくても生きて行けるものなのか。時代がそうさせるから仕方がないというのは、現実的ではあるが、劇では何か新たな誘発エネルギーもほしいと思ったのは僕だけだろうか、、。
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