8月に初見したべろべろガンキュウ女。2時間近い劇だったが、全員何故か泣いていてしかもストーリーが何回もリフレインされる。ストーリー的には実質70分ぐらいの劇ではなかったか。何故か相容れず、しかし何故か独創的で魅力的で不思議な劇団であった。
それからまだ2か月弱での公演。今度はごく小さな劇場での公演。その公演もメールが届いて初めて知ったぐらい。CORICHでも広報されていない。何故か期待できるものがあった、、。
75分の即興劇風の展開で、話がころころ変わる面白さ。3人での出演。これは劇という形を借りた「劇の81/2」であろうと思う。若い人は知らないかもしれないが81/2とはフェリーニの自己吐露の集大成映画であります。フェリーニは8作目でこの作品を作る。(長編を1、短編を1/2とすると81/2になる。)
べろべろガンキュウ女、まだ未成年の年齢の小山雄太たちの劇団である。しかし、HPを見てみるとこの作品でもう6作目ということらしいです。ものすごく作品を出してますね。出てくるものが無尽蔵にあるのでしょう。さすが若いからだけとは言えない才能が潜んでいるんでしょうね。
そしてこの作品。まさに小山雄太の脳裏をあらゆる角度からぶつ切りに、MRI分析して演劇化したような才気煥発の作品であります。
自分の今現在の心境。現状。高まる性欲。やさしさとしての愛。演劇を創作する不安。喜び。すなわち若き一人の青年のほとばしる生そのものが体現されております。
こんな若さで、素材としては容易すぎるが求めているところは果てしなく大きい。そんなダイナミズムも感じられる。何より彼ら若者の真裸の気持ちが伝わってくる。これこそこの演劇の大きな強味である。
この彼らから何かを絞り出そうとする行為は大変だったろうと思う。まさに命をすり減らす行為であったろう。でも彼らはやった。演劇という形でそれをやってのけた。凄いことだと思う。
彼らから大変な重力をもらったような気がする。秀作である。今後ますます期待できる劇団である。
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