予告編が素晴らしかったけど、本篇見るとそういうことだったんだ、と二度楽しめる。誰にでもあるほろ苦い青春の思いをエッセンスに詰め込み、見事冬から始まる人生の季節感を映し出すことに成功。
冬が重要なんです。普通は春か夏。四季だから冬で終わる。こういうところが実にうまい。
冒頭の高速道路の渋滞から始まるミュージカルシーンがまず圧倒的(僕はすぐゴダールの「ウィークエンド」を年齢的に思い起こすが、そのあまりの違いに唖然)。自然と体が動く軽快感。素晴らしい。まずそこでみんな惹きつけられる。そして静かになって、二人だけの世界へ。これはますます乗せられます。
その後ちょっと中だる気味ではあるが、またも、最後に来て、ちゃんとこの二人の人生をきちんと締めくくっている。
ああ、そうだよなあ。誰にも覚えがあるあの時の青春の思い。一瞬、走馬灯のように思い浮かべるタラレバの世界が追い打ちをかける。その瞬間、心はどくどく潤い、満たされる。目頭が熱いぜ。
チャゼルさん、ずるいよ。脚本的にはそれほど深く人間を描いていないのに、エッセンスだけで1本の映画を作ってしまい、人生の深部に触れるかのような作品に仕上げちゃった。
まあ、前作「セッション」も少々ハッタリめいた作品だったが、タッチは変われど、多少そうなのかもしれません。でも、好きだよ。こんな映画大好き。しばらくは忘れない作品となった。
エマ・ストーンは躍動的。チャーミング。ライアン・ゴスリングは静の方がいい俳優かな。ミュージカルシーンのちょっとしたしぐさがぎこちない。
いい映画でした。
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