語り手が猫である。彼の名はナナ。ナナからみた主人サトルの物語である。しかしサトルの心情がセリフを通して観客に伝えられることはない。ナナの主観を通してそれは行われる。
主役はサトルとナナであるが、サトル役は俳優にとっては難しい芝居である。サトルの数奇な悲しい運命はナナを通して伝えられる。僕たちはサトルの身体を通して、彼の哀しみと苦しみ、喜びを得ることになる。
それを川田はきちんとやり遂げた。だいたい達者な役者だが、顔も童顔なので、こんな小学生から成年に達するまでの年齢幅は得意なんだろう、難なく演技する。
親から捨てられ、施設に入るところを両親に養子にしてもらう。ところが幸せも続かず、両親は事故死してしまう。その後義理の叔母に育てられるが、しかしその幸せも長くは続かなかった、、。
ナナとの出会いからこの演劇は始まる。動物と人間との愛情のやり取りもメインテーマであるので、動物好きの人は難なくその世界に入れるだろうが、何しろぼくはその経験がないので最初は少々躊躇した。
ところがその世界に入ってからは純粋に共感することができた。人間界から見た動物への高い愛情希求もあろうが、動物も言葉には出さないまでも人間と同じ気持ちを有しているのだろうか、、。
人間と動物との愛情を堂々とそれを舞台で演じるというのを僕は初めて見た。そこにあるのはある人間の短い人生ではあるが、決して悲しい人生ではなかったということだ。
人たちからあれほど愛され、しかも一番好きなナナと最後まで一緒にいて彼はある意味幸せな一生だったのではなかろうか。長く生きていることだけが人の幸せではないだろう。
ラスト近くになってみんな泣いている。その空気を役者たちも感じているのだろう、観客と役者たちとが一体となったいい舞台だった。
今年もいい演劇を見られそうだ。
今回は僕の名前で予約もして頂き、有難いてます!
今度は是非一声お掛けください!!!きちんと挨拶もしたいと思ってます!
これからも応援よろしくお願いします!
ようこそお出でいただけました。
いつも川田さんの舞台を見ていて元気をもらってるんですよ。川田さんの舞台はいい本が多く、見る前からとてもワクワクしています。
主役が多いのもいいですね。
声かけは皆さんのように若くはないので(だいたい役者さんたちの父親のように思われているのでは、、。)ちょっと。
それでは、次は3月ですね。本当に楽しみにしています。