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男と女 (2016/韓国)(イ・ユンギ) 75点

2017-02-07 21:27:35 | 映画遍歴

この映画、カンヌグランプリ「男と女」をかなり意識しております。まず、男と女にそれぞれ子供がおり、寄宿舎で出会うところがまず一致している。

原版はそれぞれバツイチだったのが、今回はそれぞれ相方がいる。すなわち完全不倫ものであることがこの映画の挑戦ですよね。

面白いシーンもあります。子供たちの宿舎に二人で行くのですが、車を凍湖のほとりに止め、なぜか男は湖を歩いていこうとします。いつ氷が割れるか分からないほど危険なので女はさすがやめようといいます。

ここがこの映画の男と女を暗示しているんですなあ。うまく、面白いところだけど、そのあと、サウナ小屋で即セックスをするところから、その余韻も帳消しになります。

ここまでのフィンランドロケは素晴らしく美しいです。美しすぎて、ちょっと騙されているような気もして来ます。(内容のなさをきれいな映像でごまかしているような)

そして韓国に舞台が移ってからは少々興醒めのシーンもあります。男が何故かいつも、暇そうでこちらも困ります。仕事をしていないようなのです。え、そうだったけ?変です。

女はこちらも服飾デザイナーで、コレクションなどを企画しています。嘘っぽいです。ハイソサイティなシーンが続きます。

その合間に、女は仕事をそっちのけでで男に会いに行ったりして、全然気持ちが入っていないのに、仕事は成功したようです。嘘っぽいです。

女はもうブレーキが利かなくなっており、夫にも白状します。自分を責めてもいます。男に会いたい一心で、もう無我夢中です。火に油を、です。でも、こちとらすこぶる面白いです。恋愛はこうでなくちゃ。僕は平気で面白がっています。

ところが肝心のところで、男に自制心が発生します。まあ、そんなところやね。観客もある程度安心する場所がほしいのだろう。そしてあのラストシーンへと、またあの美しいフィンランドへ舞台は移ります。

でも本当はここからが一番の見せ場です。

女が男を追って、フィンランドまで乗り込み、男の家庭だんらんのレストランに入ります。でも女はその様子を感じ取り、思わずトイレに駆け込みます。じっと心を落ち着かせます。

トイレを出ます。その時男の妻にすれ違います。何かを感じます。終わりを自覚します。レストランを出ます。ふと男は女に気づきます。でも女を乗せたタクシーは雪の積もった真っ白な世界に運ばれて行きます。

女は泣きます。女性タクシー運転手は女の様子を感じ取ります。二人でタバコを吸う何とも哀しげで面白げなる真実の姿。ほろ苦い涙を女はぬぐおうともしない、、。またまたフィンランドシーンの素晴らしいことよ。

このラストシーンがとても素晴らしいのであります。まるでこのシーンだけのためにこの映画を撮ったようでもあります。僕はこのシーンだけで感動しちゃいます。映画って、中盤この映画のごとく平板でも、見せ場が終盤にあると、ある程度許せます。ゆる-い涙も出てきます。

映画料金は高いと思いませんでした。忘れることのできない映画となりそうです。

加点します。まあ、「男と女」原版にはやっとのところで、ラストシーンで優っておりました。頑張ったんではないのかな。好きですよ。イ・ユンギの映画。


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