60分の中編劇なんだが、えらくシュールっぽい。丸い舞台にテーブルが一つ。上に、レゴが乗っている。奥に書棚があり、そこにも何故かレゴの作品群が、、。この作品には何かレゴに象徴しているものがあるらしい。
家族の話である。けれどこの家族、誰一人血のつながった人間はいない。夫婦に娘二人、息子一人。そしてもう一人隣の家に住む男の子。彼もかぎっ子なのでいつもこの家にいる。十分家族である。そしてこの男の子が成長して急にこの家にやってきた、、。川田恵三、いつもの微笑みもこの劇では少々不気味に。
家族ってなんだろうなあ。常に考えていないということは十分満ち足りているんだろうか。それはあって当然のもので、でもない人から見れば家族ってとても偶像崇拝すべき存在でもあるのだろう。
ばらばらだったみんなが集まって家族を呈しても、やはりそこには通常の家族と変わらぬ愛が満ち満ちている。それはレゴを組み立ててどんどん大きくなってきた形状に似ている。でもレゴは一つずつ外していけばすぐバラバラになってしまう。
人間は家族というものを求める。愛を求める。血がつながっていてもそうでなくても、家族は構成される。そもそもそれをつなぎとめる接着剤は何なんだろうか、、。
17年前の殺人に今発生している殺人を想起させるなど、この脚本は実に不気味であるが、枯れた優しさもある。家族という思いに浸っているときは実に心地よいものなのだ。
秀作ですネ。
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