井上ひさしさんの『組曲虐殺』を観てきました。
再演です。
「蟹工船」を書いた作家・小林多喜二の物語と聞いて、初演は尻込みをしてしまいました。
小林多喜二と言えば、特高に捕まって拷問を受け亡くなった作家という知識しかないので、とても怖い物語のように思ってしまったのです。
でも、初演の評判がとても良かったので、再演は迷わず購入です。
観劇して良かったです。確かに、小林多喜二さんは拷問によって亡くなってしまうのですが、生前の様子、地下に潜って活動する苦しさの中でも、幸せを見つけたりしながら生きていたことが伝わってきました。
地下に潜っての活動、それすらも怖い行動だと思うのですが、そうしないと自分の言いたい事が言えない狭い社会(国)であったことが、とても怖いと思いました。
現在は自由があり、いろいろな事が選択できる社会・・・・それはそれでマイナス部分もあるのだけど、自由でいられることをもっと幸せに思わないといけないのかもしれないですね。
そして、人が生きる上で大切なことはなんだろう・・・・と考えさせられる舞台でもありました。私が生きる上で大切なことを、ちゃんと考えていこうと思いました。
重い内容だと思いますが、笑いがあちこちにあって、何度も大笑いしました。あっという間の3時間です。
井上ひさしさんが話されていた「むずかしいことを、やさしく・・・・」まさに、それを教えてくれた舞台だと感じました。
出演は多喜二役に井上芳雄さん、恋人・瀧子役に石原さとみさん、妻・ふじ子役に神野三鈴さん、姉・チマ役に高畑淳子さん。
刑事役・山本龍二さん、山崎一さん。ピアノ・小曽根真さん。
姉役の高畑さんに泣かされました。弟を心配しつつ、応援もする。自分だって危険な思いをするのに、しっかり弟を信じている。だからこそ、最後は切なかったです。
でも、どうして多喜二は殺されなくてはいけなかったのだろう・・・・・と、思ってしまいます。