ドミナント戦略、人手不足、崩壊:にじさんじENが「しくじり企業」の仲間入りをする日?

2024-02-16 12:24:07 | Vtuber関連

 

 

 

 

さーて、同じ話題を連投するのはここら辺にしてそろそろ別の話題って・・・あ~、にじさんじENやっぱまだバリバリ燃え盛ってんねえ。

 

というかセレン龍月の契約解除とそれに伴う大炎上を見てて思うのは、「ちゃんとした企業VS狂人」か、もしそれでなければ「クソブラック企業VS悲劇のヒロイン」か、という極端な図式で語られがちなんだけど、問題の一番の本質は結局「人手不足によるサポート不足」なんじゃね?って気がするなあ(例えばライバー数/社員数という視点でANYCOLORとカバー社を比べてみれば、その差は一目瞭然だ)。

 

これって日本企業の他のケースを考えてみたらわかりやすい。特に人手不足の職場で働いたことのある人はわかりやすいと思うけど、そういう部署って悪意の有無にかかわらず、対応の質が下がってしまうものだ。で、「何で~ができてないの?」「どうして・・・が遅いの?」と言われても、こちらからすると「いやうちも少ないリソースで必死こいてやっとんねん!」となりますよと。

 

こういうしんどさはVtuber企業の職員、特にマネージャーのエピソードとしてはよく聞かれるもので、ななしいんく、深層組と枚挙に暇がない。そもそも生まれて日が浅く企業として成長途上なのと、ライバーの配信時間とそのサポートは夜~深夜が多いため、会社に朝~夕で定時出社とかと並行してなら、相当しんどいことが容易に想像されるところだ(まあさすがにフレックス制だったりするのかな?)。

 

で、今挙げたようなグループに比べればANYCOLORは遥かに規模が大きいやろがい!という突っ込みは出るだろうが、そこを帳消しにするのが、どんどんライバーをデビューさせるドミナント戦略である。これは上手くいっているうちは次々と企業ライバーの総登録者数が増え、より多くの顧客を取り込めるとともに、社外から見た時の成長期待が高いために投資の対象としやすく、それがまた次のプロジェクトや育成・デビューへと繋げることができる。しかし、今回の問題は結局のところそのような戦略によって一人一人のケアが薄くなった結果、所属ライバーの不満・不信はもちろん、応援している視聴者からも「どうしてこんなことになってるんだ!?」と不満が出てきたことによる。

 

これまでVox Akumaなどそれなりの数のライバーがにじさんじENに残ったことから推測するに、運営側もその状況をただ放置していたわけではなく、改善しようという意思・行動は見せていたのだろう(これが最初の記事で、「maliceを持っているわけでもなければ、evilでもない」と述べた理由である。もしそうでなければ、このグループはもっと早い段階で崩壊していたはずだ)。しかしながら、人手不足というものは善意といった「気持ち」でどうにかなるものではない(それができると思っているのは、旧日本軍とそのノリを受け継いだ悪しき日本企業)。それを解消できるのは、ただ組織構築だけである。

 

で、自分が不思議に思うのは、日本のリスナーがこの問題に言及する時、ほぼ決まって「規約違反したんだからしょうがないでしょ」で話が終わり、こういう視点の話が全くと言っていいほど出てこないことである。別にこれは難しい話ではない。例えば、「残業不可と言いながら、人手不足でとても終わる仕事量でないから結局サービス残業とか自己研鑽としてやらざるをえない」みたいなのは日本企業の事例としていくらでも聞く話なわけで、こういうのには結構みんな普通に愚痴を言うし、問題意識はあるんじゃないんかと。ちなみにこの事例だと法律的な問題じゃないだろと思う向きは、例えば運送業と路駐の話を想起してもよいだろう(この場合は違反をするなと言いつつ、業務上そもそも違反をせざるを得ない構造になっている)。もちろん、被雇用者と個人事業主をイコールで語れないという点には注意が必要であるが。

 

 

 

 

そして、これについて「そんなに文句があるなら辞めればいいじゃん」て話が大体次にくるんだけど、まさにセレン龍月の場合はいつ辞めるかみたいな話にもなっていたところで、いわば懲戒解雇と類似の形態になったこともあり、本人の投稿に加えて海外リスナーは積年の不満が爆発したってのが今の構造と言える。

 

今話したことがピンと来ない人は、ハインリヒの法則とかヒヤリハットの法則を想起してもらえばいいと思うんだけど、ARイベントの中止とか断片的に聞く限りでも、伏線はそこかしこにあったのではないか。しかしそれが「重大事故」につながる伏線と考えずに拡大を優先した結果が、今のこの大炎上(の本質的問題)なんではないか、と私は言いたいのである(その意味で言えば、前に述べたように楠栞桜や金魚坂めいろの事例でライバーの側を警戒するのは当然だと思う一方で、その時と状況が異なる部分に目を向ける必要があるのではないか?少なくともそうでなければ、同じことは繰り返し起こると予測される)。

 

さて、この見立てがある程度正しいとすると、にじさんじENのここからの立て直しはかなり厳しいものとなりそうだ。というのは、「人手不足によるサポート不足と不満・不信→セレン龍月の契約解除で爆発」という構造からすると、裁判については判決を待つしかないとすると、もっかのところ注目されているのは「にじさんじENやANYCOLORがどの程度邪悪な企業なのか否か」という点にある。

 

で、重要なことは、仮にそれらがこれまで苦境を改善しようとしてきた組織であったとしても、今回の大炎上を受けて別のものに大きなリソースを割かざるを得ず、結果としてライバーへのサポートはさらに手薄になり、結果として反にじさんじEN側の人々にとっては、それがまさしく自分たちの正しさを証明するevidenceとして機能してしまう、ということに他ならない。

 

そしてこの状況を打破するには気持ちの問題ではなく人手不足解消といった組織構築以外にないとは先に述べた通りだが、こんな大炎上している会社・部署に属したいと現時点で思う人間が、果たしてどれだけいるだろうかと想像してもらいたい。そうすると、ただでさえ少ない人員は、増えるどころか精神的・肉体疲弊によってさらに減り、ますます組織の有機的な運営は難しくなると予測される。

 

このように考えると、ANYCOLORは、国内はまだしも海外展開について、その根本的な方針を見直す必要に迫られているように思う。

 

 

 

 

以上。


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