お知らせ動画?卒業?謹慎?闇バイト斡旋?あるいは「そんなバイトないから!」とか神谷明みたいなボイスで言うヤツ??
とクエッションマークだらけで見てみると、動画の登場人物たち(杏戸ゆげや希咲あんこ)も何がどうなってるのかわからん様子で始まり、突然花奏かのんがお姫様だっこスタイルで登場して驚愕、そして質問・・・という感じで動画が進んでいった。
と説明しても何言ってるかわかんねーと思われるこの動画は、「ななしいんく」という企業に所属するVtuber花奏かのんの出産報告配信である。結婚を通り越して出産のおひろめってマ!?て話だが、事情を聞くに、ななしいんくがグループ消失などカオスな状態(変化の途上)だった時期であり、確かにそこでいきなり結婚やら出産の発表しても、「おめでたいけど、何で今言ったし?」みたいな反応が出ることが予想されるから、諸々あって報告が今になったということらしい(これは反応の予測としては全くのところ正しいと思われる。どこぞのテレビ局の連中にも爪の垢を煎じて飲ませたいところだ)。
でまあ普通におめでたい以外の何物でもない話なんだが、これが話題になっている理由の一つは、おそらく「企業所属として初の発表」だったからだろう。個人勢であれば、結婚していたり子どもがいることを発表しているのは、ガッチマンVやおめがシスターズなどがいて、企業勢としても「佃煮のりお」を想起する人はいるかもしれないが、こちらは「犬山たまき」とは(アバターも違う)別の存在ということになっている、という一種のお約束ゆえに成立したものと思われる(今回はその説明が主目的ではないので、詳細は割愛)。
さて、出産発表動画としては、おめシスという前例があるとはいえ、彼女たちも発表には相当悩んだという話もあり、まして企業勢としては前例がないという点で悩ましい部分もあったと思われる。とはいえ、そこはアバターをそのままにした箱自体の移籍(小森めと)、アバターを維持した個人勢としての独立(周防パトラ)、卒業撤回の許容(湖南みあ)といった様々な驚きの決断をしてきたななしいんくである。今回も事務所OKが出て、無事発表という段になったわけだが、その寛容さというべきか「緩さ」によって、むしろ業界の仕組みに新しい風を吹き込んでいる点は、興味深いところではある。
ただし、それが持続可能・一般化可能なものかというと、現在は疑問符がつくのが難しいところ(なぜなら企業規模は拡大してないから)。この「演者ファースト」的なスタイルはksonなどが所属する海外のVshojoのスタイルと類似する部分があり、そこには色々な可能性もあると思うが、Vtuber界隈はすでに頭打ちでレッドオーシャン化したとも言われる現在では企業勢にはリスクが高いし、個人としても「だったら転生して個人勢としてやった方が、よりフリーダムにやれるしいいよね」というベクトルになりやすい職業なので、なかなか難しいなあとは思う。
・・・なんてことを考えていたら、なんと湖南みあが、何か発表をしたがっている・・・!?ということで、動画を見てみたら、「花奏かのんの出産(結婚)発表により、それらが事務所NGではないことが証明された」「つまり、みあちはビジネス婚活ではなかった!」てれれれー、ててててー!てっててーてーれれてれれー(どっかの伝説が始まる時の曲)♪とかいう話になっていて、まるで「a=bとb=cが成り立つなら、b=cが成立する」みたいな話で、謎の流れ弾を喰らいながら「(先を越されて)悔しい・・・悔しい・・・だが、それでいい(配信者的に)!」とがっつりネタに昇華している様は、さすがの芸人魂と言わざるをえなかったwそこに痺れる憧れるぅ!!
ということで、いよいよガチでしかないとQ.E.D.した湖南みあの芸人活動もとい婚活を変わらず応援し続けたい次第である(・∀・)
ま、「結婚したい人がいる」んじゃなくて、(コラボなどで恋愛関係の話題になった時の彼女の話し方でわかるように)結婚そのものに憧れて暴走機関車的にあれこれ妄想がかっている状態だと、スペック重視(最初は観察眼など含めた初見時の対応力でフィルタリング)で見られる婚活市場では、かなーり厳しいんでねーかなあとも思ったりするわけだが・・・
[余談]
今回の出産報告動画について否定的反応を目にはしていないが、おめシスの件を報じたネットニュースでは「わざわざ実世界のことをVtuberが報告する必要あるの?」という反応もあったとされる(ただし、現在動画のコメント欄では確認ができない。ネガティブな印象を持つ人間はわざわざ動画まで見てコメントしないし、したとしても削除などされている、という感じだろうか?)。
これについては、ずっと前からVtuberの応援の仕方として、結婚や出産はおろか彼氏もいないとか、何だったら異性と交流する可能性の高い配信に拒否反応をする向きに対し、極めて強い違和感を自分は持ち続けてきたし、またそれをビジネスに利用しようとするのは配信者・視聴者双方を結局不幸にするんじゃないの?と考えている。
それを「ソクバッキー」的なネタにすることもできるだろうが、もっとはっきり言えば、毒親などと同じく人を自分の都合の良い存在としてしか許容できない人間のメンタリティと同じであり、極めておぞましいものだと私は考える(そのような感情を持ってしまうこと自体や、あるいはその状態について葛藤することは全然理解できるので悪しからず。それらを平気で発露して疑わない心性や、それが叶えられて当然とでもいうような心性を批判しているのである)。
とはいえ、そもそも生身の世界でさえ、芸能人などが結婚するとファンレターが減るという話も聞くので(私にはこれが心の底から理解できない)、結局その人の活動応援だけでなく、そこに「所有の妄想」が付随するケースは程度の差こそあれ避けられないのかもしれない。
まあこの辺りは、いずれ大々的に取り上げたいテーマなのだが、「愛着」や「支配」などあまりに問題が普遍的過ぎて、ちょっとどこから手をつけたものか思案しているうちに現在にいたっているが、あるいは何度か取り上げているAIの「進化」と人間の「劣化」に絡めて、いずれ記事にしてみたいところである・・・というわけで、最後に山田昌弘の「夫の“AIとのチャットセックス”は裏切りなのか…『愛が多様化する時代“準”浮気最前線』」にリンクを貼りつつ(まあ映画の「her」とかを見たことがある人は、何を今さらという感じだろうが)、この稿を終えたい。
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