デスノートアニメ版~OP/EDの演出について~

2010-08-14 18:53:03 | レビュー系
DEATH NOTE~乾いた死~」でも予告した通り、ここではアニメ版のOPとEDテーマについて書いていきたい。


基本的に、OPの役割は視聴者の「つかみ」とテンションを高めることにあり、EDは余韻に浸らせ(まったりさせ)ることが狙いである。必然的に、OPはアップテンポな激しい曲、EDは穏やかな曲がチョイスされることが多い。これに関しては、「ドラゴンボールZ」のOPED、「エヴァンゲリオン」のOPED、「テクノライズ」のOPED、「灰羽連盟」のOPEDなど枚挙に暇がない(もちろん、「Vガンダム」のEDや"lain"のOPのように例外もある)。


デスノートも、それと同じ狙いで作られている。
例えば第一期のOPは、夜神月のアップで始まり、目を開ける姿を描いた後は象徴的なシーンを速いテンポで流すことで視聴者を引き付ける演出がなされている。そこで「つかんだ」視聴者に対しては、一変してゆっくりしたテンポで夜神月の立ち位置と登場人物の紹介を行う。具体的には、月がりんごを手にし、高所にある細い道を歩き、ビルの頂上でりんごを口にするという描写だが、これは禁断の力を手にしたことやエリート(神)を目指す彼の状況がわかりやすく表現されていると言える。また、その高み(同じ立ち位置)にいるのが独りLだけという構図も対決の図式をうまく表している(ここには「赤ー青」という二項対立的表現もなされている。ちなみに、Lの髪の色が青ではなく黒であるように、月の髪の色は茶髪であって赤ではない。要は完全に意図的な表現ということだ)。まとめると、最初は象徴的なシーンをすばやく見せることで視聴者をつかみ、後はゆっくりわかりやすく内容説明をしている、というわけだ。


一方EDでは、ペンを持った無表情に近い月の姿が長い間流れる点がOPと大きく違う(「誰にも見れないユメを見て」から「要らないものは全て捨てた」まで)。次に「ゆずれない想い」のところで内に秘めた怒りが爆発したかのような表現とともに(おそらく)ノートに書かれた人間の名前が赤で描かれるのだが、これはOPで月の色として使われているのに合わせただけでなく、おそらく激情や非日常を表現していると思われる(ちなみに髪もネクタイも赤)。というのは、月は一貫して無表情なのだが、目だけは赤で表現されており、しかも怒りが表れる時は全体が赤に変わっている(これは「最後の孤独も知らぬ~」のシーンも同じ)。さらに言えば、「現実理想の狭間にいて」の部分では青い空が徐々に反転しており、「溢れる衝動押さえきれない強く求める心があるから」のシーンは普通の青空の風景から倒立した赤色の空をした世界に変わり、その次のシーンでは、最初は青い空だったのに、月がリュークにりんごを投げる所で空が赤色に変化する。このように見てくると、OPにあった月の赤とLの青という二項対立が、EDでは非日常の赤と日常の青という対立表現として使われていることがわかる(りんごの赤がここに組み込まれることは言うまでもない)。またこのような色の表現を際立たせるためにかそれ以外の部分は白黒になっているが、これは荒廃した死神界の色を思わせるが、「ロサンゼルスBB連続殺人事件」のカバーが黒と銀であることからすれば、それをデスノートという作品のイメージとして意識しているのかもしれない(映像に昔の映画風の縦線が入っているのは、白黒とのマッチングを考慮したためか)。また色の抑制だけでなく、りんごを放り投げるシーンを除いて動きが全くないのも特徴だが、これは赤で表現された感情の動きを強調する効果を生み出しているように思える(ところで、りんごをリュークに投げる[返す?]のは、OPと逆の演出以上の意味があるのだろうか?)。さて最後になるが、「様々なネガティブに とわれるほど弱くはない」の部分は作中での振舞や嫉妬など感じようもない月の設定を思い起こさせるが、「孤独も知らぬTirckster」という表現は、「人間の当たり前の感情が理解できない」といった複雑な含意を感じさせる。これはEDが月にのみスポットライトを当てている事を含め、夜神月というキャラクターを極めて的確に表現していると言えるだろう(ちなみに、前に書いた歌の感想では、「孤独を知らぬtrickster」と歌詞を聞き間違えていたので解釈がおかしなことになっている)。まとめると、OPに比べてEDはゆるやかなテンポの曲であり、シーンの変化もそれに合わせてゆっくり行われる。また色や動き、表情が抑え目になっているが、これは曲調に合わせて穏やかなものにしたというのと同時に、色を使った部分を強調する目的があると思われる。


第一期のOPとEDに関する分析は以上である。
ちなみに、第二期については見た目そのままだと思っているので、特にここでは触れない(例えばOPの月の顔で一杯の画像は、肥大した自意識を象徴している。また階段は神への上昇を意味しており、EDではEVの形でそれが描かれるetc...)。というわけで、次回は映画版の評価について書いていきたいと思う。

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