森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

オオニガナ ①

2011年10月02日 | 自然観察日記
雨の中斑尾高原の沼の原湿原に行ってきました。ここは春のミツガシワやリュウキンカなどの景観が人気を呼んで近年非情に有名になったところです。しかし、秋の湿原は言わば藪で木道はカヤやススキで覆われていて人が歩いている形跡がありません。それでも草刈をした道があって地元の人か僅かに訪れる人の便を図っているようでした。ここはもともと開墾地であったようで、放棄され水を堰きとめながら湿地を作ったような場所。里山という言葉をもじれば里湿地とでもいうような2次的なものです。
しかし、面白いところですね。草刈をしていない散策路を草を掻き分けながら歩くと楽しいものがいろいろ出てきます。その中で特筆すべきものがこのオオニガナです。これ絶滅危惧種に指定されている種なのですが、この沼の原の湿原にかなり大きな群落が出来ていました。

オオニガナ ②

2011年10月02日 | 自然観察日記
湿地に生えるニガナの仲間といえばそれまでですが、70-80cmの茎を伸ばしたキク科植物。黄色のはっきりした花は頭を垂れた風情。花はうつむいて咲く性質があるそうですから雨のせいとは言い切れません。春はミツガシワが群落を作る場所にそこそこの規模で咲いていました。これには本当に感激です。何しろ私にとっては始めての体面なのですから・・・。人のほとんど訪れないこの季節に人知れず咲く花なんですね。雨の中でもかまいません、同行者がいなければもっと時間をとって喜びをかみしめたことでしょう。今回はここにあることだけを知ったことで良しとします。

オオニガナ ③

2011年10月02日 | 自然観察日記
横から見るとうな垂れているのがよく分かります。雨のせいもかなりありそうな感じです。澄んだ黄色の花は素敵ではありませんか。2次的な里湿地でも貴重な種が入り込み生き残っていてくれることは嬉しいことですね。
しかし、この環境はそれほど安定していないように見えましたから放置されるとやがて違う種に置き換わるような気がします。人の手で作られた湿地は同じ景観を維持するにはそれなりの働きかけが必要だと感じています。