森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

眼下に広がる森の異変

2014年12月02日 | 自然観察日記
栂池自然園に向かうには栂池高原スキー場のゴンドラリフトに乗ることから始まります。わくわくしながら幾分興奮状態で乗り込んだリフトの中で眼下に広がる森の異変にきずきました。実は途中のバスの中で窓から見える山の上の方が茶色になっていることに違和感を感じてはいたのですが、ゴンドラの駅から次第に高度を上げる過程でその正体を見極めます。異変のある範囲は一定の高度の範囲で中継地点の栂の森駅(約1560m)あたりは問題がなく美しい森が広がっています。
遠目では葉が枯れたのかと思うような茶色になっている場所がおよそ1000mから1400mの範囲で広がっていて、この異変は姫川沿いにかなりの範囲で存在しているのではないかと思われました。

食害される森

2014年12月02日 | 自然観察日記
リフトが高度を上げていく中で異変の森を横切っていきます。そこで見た光景は丸坊主の木々です。その範囲はほぼすべて樹種を問わず葉がありません。明らかに食害の跡でした。遠目に茶色に見えたのは葉が無くなった枝が露出していたためでした。おそらくガの仲間の大発生によるものなのでしょう、好き嫌いを言わずなんでも食する威力に唖然とした一瞬でした。しかし、樹種は選ばないようでも生育適温があるのでしょうか、一定の範囲以外の上にも下にもそういう現象は見られませんでした。
時に自然は爆発的な生物の増殖が見られということを教科書的には理解していますが、今この周囲でそういう現象が起きていることの驚きを身をもって体験しました。動くリフトの中ではその正体を見極められませんが、今は幼虫やがて変態しおびただしいガの成虫が飛び交う光景を想像し幾分不気味さを感じたものでした。(ニュースとしてその後のガの発生という内容のものは残念ながら私には届いていません。皮肉にも大地震が発生したというショッキングなニュースに置き換えられてしまいました)