森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

シラネアオイ

2014年12月11日 | 自然観察日記
久々に野生のシラネアオイを観ました。それも大群落とは言えないまでも個体数が多かったのに感激しています。シラネアオイは庭園の花になってしまっていて庭先や鉢物で家の周りでもしばしば見かけるもので、私の中ではきれいではあっても新鮮味に欠ける花になっています。かつては長岡の東山地区や柏崎の山間で大きな群落を見た記憶があります。しかし、乱獲がたたって今では里山では皆無に近い存在になってしまいました。山から帰る途中の自転車の荷台に山取りのシラネアオイが括り付けられていた光景を思い出します。自然界ではなくなってしまって今では花壇で見る花という意識ですね。しかし、深山や高山に行くと野生のシラネアオイに会える時があります。最近では小松原湿原や月山でも見かけました。でもいづれも1個体だけ。栂池自然園では、主にワタスゲ湿原の山側の歩道わきにはたくさんの開花株があり久々の感動です。

シラネアオイの花

2014年12月11日 | 自然観察日記
シラネアオイはシラネアオイ科とすると1科1属1種という日本固有の極めて優れた花で世界に誇れる存在です。各地で絶滅危惧種に指定されるなど保護の意識が高まってはいますが、美しすぎるがゆえに見つかると盗掘されてしまいます。山から持ち帰った花は2・3年以内に消えてしまうのですが・・・。自慢げに花を持ち帰った話をされる方もおられて、その心無さに落胆しています。
花弁はなく大きな4枚のがく片を持ちます。

シラネアオイのしべ

2014年12月11日 | 自然観察日記
シラネアオイの花を拡大してみました。雌しべが左右に分かれ先端にいくつかの丸い柱頭が確認できます。周りに房状に配置しているのが雄しべ。シラネアオイの果実の形状と雌しべの形状を比べると関係がよくわかります。