森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ミズナラのアルビノ ①

2015年09月14日 | 自然観察日記
散策道脇に白い個体が散在している場所があり、何かな?と調べてみるとミズナラの白化の実生個体です。見事に純白で周囲数メートル範囲にざっと10個体くらい確認できます。動物にはアルビノという言葉をよく使いますが、植物にも使っていいものか分かりませんが、原理は同じでこの個体葉緑素(色素)を作れない性質のようですから、使ってみました。

ミズナラのアルビノ ②

2015年09月14日 | 自然観察日記
葉が数枚出ていますが、これ以上成長した個体は見当たりません。推測するに昨年結実した種子(どんぐり)の栄養を使ってここまでは成長したのだと思います。この先、光合成ができないはずですから死滅していく運命でしょう。逆に、どんぐりの蓄えた栄養でここまでは成長させられるということを示していますから、かなりの栄養を蓄えていることに関心です。すぐ脇には葉緑素を作れる個体が生育しています。こちらはもう一節枝を伸ばし新たな葉を伸ばし始めています。

アルビノを生む母樹

2015年09月14日 | 自然観察日記
アルビノ個体が生じるには母樹があるはずで、周囲を見渡すとミズナラの大木がありその実が落ちる範囲にアルビノ個体が見られますから、ほぼ間違いなくこの個体が母樹でしょう。自家受粉して実をつけるのでしょう。この個体には葉緑素を作れない遺伝子(劣性)がありこの遺伝子が対になるとアルビノ個体が生じるという古典的なメンデルの遺伝の法則で説明されます。
なかなかこういうものを観察できる機会はなく、とてもいい経験になりました。おそらくこの個体の根元には存続する間毎年一定の割合でアルビノ個体が出現するはずですから、その比率など調べてくると新たな事実が分かるかもしれません。私が住む近くの場所ならそんな研究もしてみたいのですが、蔵王では叶いません。