ここは妙高の燕温泉の奥、惣(そう)滝へ向かう散策道。海抜は1000m位なのでしょうか。道はやや荒れていて手入れがされていない状態でした。それでも人の歩いた形跡はあって展望の良い場所へは行けるのですが、滝の落ち口まではそれなりの覚悟がないと難しい状態でした。その道すがらいくつかの植物を見ていきましたが、その中で最も目を引いたのがこのエゾリンドウの一塊になって花を咲かせていたものです。切り立った場所で下には惣(そう)滝から続く沢がありその縁に根付いたものです。エゾリンドウは一般的にはさらに上の場所に生育する種です。おそらく妙高山の2000m程度の稜線やその周辺の草地に生育していると思われますが、その中から種子が流れて来たのでしょうか。たまたまこの地に根付いたものと思います。同じような運命をたどった種子は数知れないほどありそうですが、生育しているのはこの位置にある一群で他には気づきません。場所が不安定なことや、やや生育するには低所過ぎて気温などと折り合いがつかない環境なのでしょうか。低海抜地の分布として注目してもよいのかもしれません。
高山から流れ出る沢沿いを歩くといろいろな種が山から降りて生育している場面に出会います。深山の沢に適応した種もいない訳ではないでしょうが、高山種に共通なものも結構ありますから沢歩きもなかなか楽しいものです。以前は渓流釣りも交えて沢歩きをたくさんした経験がありますが、最近はバランス感覚が衰え始めていますから足場の悪い沢歩きは少なくなりました。