初秋の志賀高原を散策しました。一の沼から琵琶池に移動したときに20mもない至近距離でツキノワグマと鉢合わせ。一瞬お互い固まってにらみ合いが続きました。さてどうしよう?戦う武器を持ち合わせていませんから彼が向かってきたらどうやって戦うかということを考えをめぐらします。ふとNHKの放送にあった「ヒグマを叱る男」の映像を思い出していざとなったら大声で叱りつけてやろうかなどと思い浮かべながら彼の動きを注視していました。不思議と恐怖心は沸きません。数秒間にらみ合ったあと大声で叱りつけることもなくクマのほうから林のほうに立ち去っていきました。
長い間クマに出会っても不思議ではないところを歩き回ってきました。北海道の知床では新鮮なサケの食い跡を横目で見ながら沢歩きをしたこともあります。秋山郷ではクマの寝た跡だという痕跡を見ながら散策をしたこともあります。それなのにクマに遭遇しなかったのは縁がなかったのか運がよかったのか・・。とにかく初めての出会いです。彼が立ち去って終わりでは話にもなりませんから、カメラを取り出して刺激をしないように彼を追いカメラに収めました。子熊ではなく大きな成獣でもなく独り立ちしたばかりの若い個体という印象です。林の中に舗装された散策道が伸びていましたが私の気配を感じ振り返りながら奥へ去っていきました。
遭遇した場所です。琵琶池の湖畔に建っていた家でこの辺りで何やら物色していたようです。山奥から人の住むエリアに出てくるのはエサが山にないからではないと思います。人里に近いところのほうが簡単にエサにありつけるためだと思っています。若い個体ならなおさら一度簡単なことを覚えてしまうとそれが習慣になり頻繁に人里に出てくるのではと考えています。いずれ人との決定的な軋轢が生じたときに殺処分されるような運命になるような気がします。クマを捕獲し思い切り脅して虐めて「人は怖い」という学習をさせて山に戻すということを行っている軽井沢のピッキオの取り組みを思い出しました。