森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

袋状の新葉

2010年04月09日 | 自然観察日記
 葉が展開していくのもなかなか面白いですよ。これはオオカメノキというスイカズラ科の新葉が展開し始めたもの。この種はいわゆる裸芽で一定の温度になると直ちに成長できる利点があります。その成長ですが、最初に葉軸の辺りが急激に伸び、葉の周辺はその速度に追いつけず全体が袋状になっていきます。
 オオカメノキは左右対称に葉がついていますから、少し話して見ると2枚の新葉が眼のように見えます。土偶でこんな形をした眼を持つものがあったような気がしますが、一時どことなくこっけいな形を見せてくれるのです。

ダイサギ

2010年04月08日 | 自然観察日記
 周りに鳥に詳しい人が何人かおられるので、段々鳥にも興味を示してきています。それなりに識別する眼も養われてきているようです。ただ、音感がメロメロですから鳴き声で判断するのはからっきし駄目。さえずりや地啼きで何かを判断できる人がとてもうらやましい限りですね。
 ところで、このサギ変なところに止まっていたんですよ。道路脇にある手すりの上。こういうところに止まっているのを見るのは初めてです。なんとも不安定な感じですが当人は平気なのでしょう。サギにもいろいろいますが、これは大きさやくちばしからダイサギと判断しました。近くにねぐらがあるのか、最近よく見かけるようになりました。

ショウジョウバカマの花柱

2010年04月07日 | 自然観察日記
 ご存知ショウジョウバカマの花です。里山を代表する春の花で、雪解け後直ぐに花を見せてくれますね。この花が群生するとなかなか見ごたえがあります。
 花をよく観察すると、雌しべ(花柱)が凄く長く飛び出ています。そして、付け根辺りにはまだ裂開していない葯があります。実はこの花は雌しべは受粉できる状態で、花粉を受け入れることが出来ます(先端の柱頭で)。他の個体から放たれた花粉をポリネーターが運んでくれるのを待っているのです。すぐそばに葯(花粉の袋)があるのですが、同じ花の花粉で受粉しないように成熟するのに時間差があるのです。

近くでは

2010年04月06日 | 自然観察日記
 ユキワリソウは自然に近い雰囲気で見せるためコナラの雑木林に植え込まれています。その近くには野生のオクチョウジザクラがちょうど見頃になっています。

やっと 花数が増えてきました ユキワリソウ 5

2010年04月06日 | 自然観察日記
 新潟の野生種はオオミスミソウとされます。葉が大型で花の変異が特に大きいものですが、ここに植えられているものは葉の小さいミスミソウの血をかなりひいているようです。株がとても小さいのです。花とのバランスを考えると葉が小さいのが好まれるのでしょうか。

やっと 花数が増えてきました ユキワリソウ 3

2010年04月06日 | 自然観察日記
 植え込んだ株が9万株ということになっています。全て活着したわけでもないでしょうから、ひいき目に見ても数万株はありますから咲きそろうとそれなりの迫力はあると思います。

やっと 花数が増えてきました ユキワリソウ 1

2010年04月06日 | 自然観察日記
 越後丘陵公園の健康ゾーン、やっと雪が消えて植栽したユキワリソウの花が咲きそろい始めました。1~2分咲きというところ。例年に無く寒い日が続いていて、お隣の雪国植物園に比べかなり遅めの開花状況ですね。全て栽培種ですから色は艶やかです。訪問客も次第に増えてきました。気温の上昇とともにまもなく見頃になるでしょう。結構遅咲き種も植栽されていますから花期は長いのです。

花の不思議 オウレン

2010年04月05日 | 自然観察日記
 話材がありそうでない時期で、今日は何にしようかと考えて、再びオウレンに登場してもらいました。もうとっくに咲き終わっている場所も多いのですが、雪が溶けたばかりの里山は、今まさに花盛りなのです。ユキワリソウは多くの人が先を競って見に行きますが、オウレンを見に行く人は余りいませんね。こんなに素敵な花なのに・・。
 それはそうと、この花は雄花でまだ割れていない葯を持った雄しべばかりが並んでいます。他に良く探すと雌しべと雄しべを持つ花(両性花)が見られます。ひとつの株が雄花ばかりのときもありますが、雄花と両性花が混在しています。両性花ばかりの個体もありますが、雌花ばかりの個体はどうもないようなのです。稀にはあるというのですが、真剣に探しもしないので残念ながらいまだ出会ったことはありません。植物の性というのは動物と同じようには扱えないなかなか不思議な在り様なんですね。


フジの年輪

2010年04月04日 | 自然観察日記
 年輪といえば同心円になっていて、南と北方向で幅が違うというのが一般的な考え方ですね。でも、そういう概念にはまらないものがあるのです。この辺りが生物の面白いところ。例外が一杯あって、型にはまらない思考ができるというもの。
 ところで、このフジ同心円になっていません。南と北の方向も全く無関係。どの方向に成長するかはそのときの条件できまるようで、結構気まま。中には島状になった年輪様成長痕が良く見られます。
 私の家の隣にある神社のケヤキの大木に絡み付いている大フジがあります。子どもの頃は太さが60cm以上はあって、10mくらいはよじ登ったものです。それが片方の面が腐り始めて、キノコが発生する始末。長い年月を経て腐った部分はどんどん剥げて今では径15cmくらいの幹周りしかないのです。なかなかしぶといという見方も出来るのですが、つる植物の生活の知恵かもしれません。このフジを切ってみるとおそらく年輪は摩訶不思議な形になっているのではないかと思います。

エナガ

2010年04月03日 | 自然観察日記
 エナガです。小さな鳥で複数の個体が敏捷に飛び交っていました。偶然目の前に着たので、必死でカメラに納めました。もう、構図など決めている余裕は無く、エナガのいる方向にレンズを向けてシャッターを押したものです。綺麗な写真を撮る動物写真家の凄さが分かりますね。この時期は里山の鳥の観察にもいい季節ですね。ところどころ雪が消えた尾根を冬毛のノウサギが駆けていく姿も目撃できます。

クズの左巻き螺旋

2010年04月02日 | 自然観察日記
 太い黒いのがクズのつるで、3年もすると7-8cmにもなる成長の早い種であっという間に木を被ってしまいます。フジとは違って、枯れて腐敗するのは早いですね。このクズの螺旋は左巻きでフジと違うのが分かります。フジもクズもマメ科の植物です。同じような環境に生育しながら、この差はなかなか面白い性質ですね。この理由を探っていくと結構面白い研究になるかもしれません。

フジの右巻き螺旋

2010年04月01日 | 自然観察日記
 林業の厄介者につる植物があります。その代表がフジとクズでしょうか。木々に巻きついて被ってしまいついには枯死させてしまうのですから、林業関係では嫌われ者です。
 生態学的に見ると、森の周辺に生じて森の中に乾燥した風が入らないようにしているという考えから、こういうつる植物群落を「マント群落」と呼びます。それなりのはたらきがあるとされています。
 それはそうと、このフジの螺旋は右巻きでクズとは違うことはお気づきでしょうか。時計回りに木に巻きついていきます。