ミヤマハハソというアワブキ科の低木です。新潟県内には稀にしか見ませんが、太平洋側には普通にあるのでしょうか。一の倉沢遊歩道には比較的普通に見られました。ちょうど花の季節で細かな花を沢山つけていました。別名ミヤマホウソで「ホウソ」はコナラ類のことを言うのだそうで、なんとなく葉が似ている気がします。しかし、類縁は全くありません。
花より目に付いたのが虫こぶで、花穂の中に丸くなった虫こぶが沢山付いています。一見果実のようですね。しかし、この丸いものは全てつぼみのうちに虫に卵を産みつけられて異常に成長したものです。全ての花が犠牲になっているわけではありませんが、これほど多くの被害があると種の保存にも影響してくることでしょう。といっても、ほとんど虫こぶのない個体もありますから、バランスよく捕食者と被食者の関係がなりたっているのでしょうか。
新参に来なければなかなか見れない鳥なのだそうですが、頭を下に向けても平気で、垂直な樹の幹を軽やかに上下に動きます。目の前にいる個体の色は黒っぽいのですが、他人が写された写真が青っぽい体色なのが不思議です。ゴジュウカラというカラの仲間。鳴き声からの見極めは相変わらず駄目ですが、目で確認できる場合は写真を撮って調べることができますから、一つずつ覚えることが出来ます。これでまたひとつ私の知識が増えました。
タマガワホトトギスの葉や芽の部分が何かに食われているようです。近くにはエゾアジサイも同じ高さで食われているものもあって、推察するにカモシカが食べ歩きをした痕だと判断しました。標高からしてウサギ類ではありませんし、ニホンジカならもっと大規模の食痕になるのではないかと思います。昨日食べられたような新鮮な痕ではないので、なわばりにしている個体がときどき巡ってきては食べているのではないかと思います。
白い花が行儀良く一列に並んでいるのがほほえましいですね。花が咲いているのですが、僅かに先っぽが開いている程度なのでとても分かりにくいものです。そんなおちょぼ口を開けていたのでは、どんな虫が花粉を媒介してくれるというのでしょうか。匂いを感じませんし色も目立つものではないので、本当に不思議な感じがします。
先日テツカエデの葉を取り上げましたが、綺麗な花がある株に遭遇しました。カエデ類は花は地味なほうですが、樹がかもし出す雰囲気は独特なものがあって私は好きですね。葉の変化もよし機の姿もよし、何より紅葉を初めとする色の変化が素敵です。しかし、難しいグループで現物を見れば見るほど分からなくなることがありますね。
まだつぼみなのが残念でした。この散策道には沢山あって、さすが深山幽谷の風情です。クサアジサイは深山性の花という印象が強いのでついついそう思ってしまいます。エゾアジサイは所々で花を見せていましたが、クサアジサイはもう少しです。他のアジサイの仲間は見かけませんでしたから、一の倉沢にはこの2種のアジサイ以外は分布していないようです。
一の倉沢遊歩道の一番のヒットはショウキランでしょうか。残念ながら開花には至っていませんでしたが、私としては初めての出会いでした。もちろん数々の写真などで見てはいるのですが実物に合うというのは大きな感動を覚えます。腐ランで緑葉はなくつぼみがひとつだけでていました。栄養状態のいい個体は数個の花を咲かせますからこの個体は貧弱な個体ですね。斜面の土砂が崩れおおちてそこに落ち葉なども積み重なっている場所で、イラクサナどが生い茂る草陰に出ていました。うす暗い場所に薄桃色のつぼみがまるで暗闇に灯る電球のような雰囲気でしたね。ショウキランの発生する環境を学びました。
「升麻(しょうま)」は漢方のくすりの名前。キンポウゲ科のサラシナショウマが本家のようでその花に似たものを「○○ショウマ」と呼んでいるようです。ヤマブキショウマもそのうちの一つで科はバラ科で類縁はありませんね。一の倉沢へいく散策道の林の中の比較的明るい場所に点々と咲いていました。同じ季節に咲くトリアシショウマ(ユキノシタ科)の豪華な花穂に比べ細い花穂をしていますから、雰囲気は質素ですね。花穂の様子をよく見ると細いものと少し太いものがあります。実はこの種は雌雄異株でこの花穂の太さで雄株か雌株の区別ができるとのことですが、いまのところ私には判断できません。
一の倉沢のヘリがようやく雪消えで、いくつかの種は大急ぎで発芽してきていました。その中に、開花したてのサンカヨウがひときわ目を引きます。一の倉を背景に写してみました。夏の登山シーズンにはすでに花は終わって青い実の季節になっていて、花をみたことはそれほど多くありません。今回は心行くまで花をめでてあげました。純白の花で、こんなに澄んだ白い色は久々の感じ。美しいと思いましたね。葉が特徴的で基部も上部もくびれがあります。
もう30年も前のことになるのかもしれませんが、この一の倉沢には車で来たことがあります。今回は谷川ロープウェイ駅からは歩きの訪問です。かつての車道は沢沿いのサワグルミが優先する深い森の散策道として利用されていて、夏でも涼しくきもちのいいものでした。途中マチガ沢の景観を楽しみながら道草を食いながら歩くこと2時間ほど、一の倉沢に着き絶景を堪能しました。曇天で稜線がかろうじて見えるような状況でしたが、それでも見事な景観を見せてくれました。予想していたよりやや残雪が少なく、沢の水量が少なくあのときの迫力が感じられなかったのがちょっと残念でした。
一の倉沢は岩登りの聖地として有名ですが、この沢からさらに奥に進むと大きな岩場があり、ここに遭難碑がたくさん据え付けられてあります。碑には若い命を惜しむ言葉が添えられているものが目につき、中には新しい花束が添えてあったりします。はるか彼方に「衝立岩(ついたていわ)」も望めます。この岩場に魅せられた多くの命があって、そして悲喜こもごもの人生が織りなされていることがわかります。不思議な空間なのですね。
一の倉沢は岩登りの聖地として有名ですが、この沢からさらに奥に進むと大きな岩場があり、ここに遭難碑がたくさん据え付けられてあります。碑には若い命を惜しむ言葉が添えられているものが目につき、中には新しい花束が添えてあったりします。はるか彼方に「衝立岩(ついたていわ)」も望めます。この岩場に魅せられた多くの命があって、そして悲喜こもごもの人生が織りなされていることがわかります。不思議な空間なのですね。