森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

キタゴヨウ

2012年07月17日 | 自然観察日記
谷川岳の稜線は薄くガスがかかって見えにくい場所もあるのですが、やや低い場所は点々とキタゴヨウの列生している姿が確認できました。やせ尾根に好んで生えているように見えますね。緩斜面の適地では他の種との競争で負けるため、条件の悪い場所に追いやられた結果と言われています。一つの解釈ですが、やせ尾根に生育している個体はどれも立派な姿をしているように見えますから、こういう条件でも生育上好都合なものがあるのだと思います。むしろ積極的に進出している面があるのではないでしょうか。

ドラゴンフルーツ 果実

2012年07月16日 | 自然観察日記
ほぼ1年がかりで育ててきたドラゴンフルーツです。いつ採ったらいいのかわからないのですが、エイとばかりにもぎ取って食べることにしました。やや小振りで10cm弱、色は黄色。よく見かける赤い品種ではありません。なにはともあれここまで持ってきたことに拍手です。ろくな施設もない中ですからほめてやってください。

ドラゴンフルーツ 果実断面

2012年07月16日 | 自然観察日記
おそるおそる割ってみました。くすんだ白色です。種子が点在しています。かつてこの種子を取り出して栽培を始めたのかと思うと不思議な感じですね。味はいい!さっぱり系ですが赤い品種よりずっと上品な感じ。最初に味わったときを思い出しました。この味を再現させようと種子から育てたんです。振り返れば途方もない時間を使っていたんだなぁと我ながら感心したりあきれていたりで・・・。(そこまでしなくとも今はどこかの果物店でもあるはずですが・・)

ワタスゲ

2012年07月15日 | 自然観察日記
夏の高原のイメージ写真によく使われているワタスゲです。これは花ではなくて咲いた後の実の状態でやがて崩れ風に吹かれて遠くに飛ばされます。花の時期はほとんど気づかずこの状態でようやくワタスゲがあることを知ります。しかし、どこにでもあるわけではなくて高山系の湿地に生息しています。ここはたきがしら湿原でこのワタスゲも当時植栽されたようですが、その後一時大きな群落になったとのことですが、今は乾燥化のせいでしょうか、ごく僅か点在しているにすぎません。
ワタスゲといえば、かつてYさんと訪れたときのワタスゲのある尾瀬の景観が目に焼きついています。

ヤグルマソウ

2012年07月14日 | 自然観察日記
高山では夏に見られる花はたきがしらは少し早く見られます。ヤグルマソウの立派な株がいくつか花盛りで、沢山の虫たちを呼び寄せていました。観賞価値が高い種でもないのですが、花のボリュームは圧巻ですね。なにわともあれ大形の「矢車」状の葉が素敵です。大きな群落になると、この葉を見ただけで異次元の世界に来た気分になります。

ヤグルマソウ 花

2012年07月14日 | 自然観察日記
大形の花穂にはいったいいくつの花があるのでしょうか。ユキノシタの仲間はそれぞれで多くの種子を作りますから、小さな種子が莫大な数が形成されるはずです。その中から次世代の子孫が生まれるはずですが、ざっくりいってほとんど目的を果たせないと考えざるをえません。多くの命は実に大量の「無駄」をするものだと思ったりもします。(実際はそれくらいの無駄をしないと自然界では残らないということなのだと思います。他の生きもののために作っているのです)

クモの子を散らす

2012年07月13日 | 自然観察日記
たきがしらの園路を散策中に葉についたオレンジの塊が目に入りました。何かなと手にしてみました。するとこのオレンジの物体が分かれ一斉に四方八方に移動します。種は分かりませんがクモの子供が集まっていたのですね。これを手にしたものですから、手の中でクモの子がまさに「クモの子を散らす」状態で動き回ったという次第です。
葉に集まって過ごしていたほうが安全なのでしょうか?およそ2cmはあろうかという塊でオレンジ色の球体でしたね。付近にはトシアシヨウマナなどの葉柄がちょうどこの色のようなカビと思われる病気にかかっていて脹らんだ状態で存在しています。このカビの色に似せた状態と何か関係があるのでしょうか?鳥などの天敵から身を守る仕掛けであることは間違いないでしょう。

ギョウジャニンニクとウスバシロチョウ

2012年07月12日 | 自然観察日記
たきがしらの一角にギョウジャニンニクを植栽された場所があって、葱坊主が林立していました。その花にヒラヒラと舞い飛びながら吸蜜をしている蝶がいました。ウスバシロチョウです。6月の中旬の話なのですが、まだウスバシロチョウがいることに少々驚きで、こんなことからも今年は季節の進みが遅れているのだなぁと実感しています。里山の花も遅れ気味の種がいくつかありますね。天候に左右される自然界の様子もまた興味深い観察の視点です。

水媒花

2012年07月11日 | 自然観察日記
今年もたきがしら湿原に出向きました。何度か来ている場所ですが、この季節は初めてで、この季節ならではの観察が出来て大満足の日になりました。自然は常に変化しています。一度行ったからといっても出会えるものはごく少ないものですから、何度行っても新しい発見があります。
今回は水媒花を観察できました。映像では見ているものの実物は今回が初めてです。受粉を水を利用して行う花、水媒花。進化の妙を感じないわけにはいきません。
池の中に水草が生育していてその上に点々と黄色のものがあり、何かなと近づくといくつかが水面を渡る風によってスーッと走ります。中には黄色の塊が壊れて粉状になって水面に散らばります。「水媒花」です。まさに開花し花粉を散らばしている現場に出合ったのです。同行された方がおられましたから、大騒ぎするわけもいかず押し殺してはいたものの興奮冷めやらぬという感じで暫らく独り悦に入っていたものです。

クロモ

2012年07月11日 | 自然観察日記
水草の種は特定するのが不慣れで、写真をとって持ち帰えり調べました。よく似た種にコカナダモというのがあるのですが、結論はクロモにしておきます。現物を顕微観察しないと厳密な区別は出来ませんね。クロモは全国に分布する種であり、外来種のコカナダモが内陸部に入っている可能性は少ないことと。そして、コカナダモは日本には雌株は入っていないとのことで、ここにはかなりの個体が存在しているようで種の継続がなされているのはクロモのほうが可能性が高いかななどなどの理由です。いかがでしょうか。

クロモ 花粉

2012年07月11日 | 自然観察日記
クロモやコカナダモは雄花を腋に付けますが、それを切り放します。雄花は水面に浮き、まもなく葯が割れ花粉を放出します。これは水面に浮いた雄花が花粉を出したところです。風によってこの花粉の塊が右に左に動き回り、やがて花粉が水面に油膜のように散らばっていきます。雌しべの先端がどこかにあるのだろうと探しましたが、このときはそれらしいものを確認できませんでした。(コカナダモならないのは当然のですが・・・)

ムラサキニガナ 花

2012年07月10日 | 自然観察日記
村上で研修会をするというので時間をやりくりをして駆けつけました。僅か半日しか行動できませんでしたが、村上の里山の整備途中の散策路を歩きました。薮蚊に悩まされましたが、新しい出会いがいくつかあってよい勉強会になりました。新潟県は南北にも長い県で地域地域に独特な種が分布しています。知っているようで知らないことが多いのです。特に県北は行く機会が少なく興味深いところです。
このムラサキニガナも実物は初めてで、かすかに図鑑で見覚えがある程度ですから名前が出てきません。姿からはおよその見当はつけられても、初めての出会いでは無理からぬこと。新しいものに出会ったり発見したりすると本当に感激します。自然の中には途方もないくらいに不思議が存在していることを再認識させられますね。

ウワバミソウ

2012年07月09日 | 自然観察日記
この名前もなかなか凄いものがあります。ウワバミはヘビのこと、ヘビが出そうなところに生えているということなのでしょうが、じめじめとした場所とヘビは結びつくイメージがあるようです。しかし、経験的にウワバミソウが生えているところでヘビに出合ったことは記憶にありません。
この種も普段観察しているようでしていない代表種でしょうか。雌雄異株で雄花には柄があるけれど雌花にはないということはもうすっかり忘れてしまっていました。でも食べる話になるとことしっかり押さえていて、腋に出来るムカゴはなかなかいける代物だとか、地元ではミズナといって多くの方が利用していることなどは良く承知しています。ムカゴの採集は秋で人々が注目しないころの山の恵です。



ニワトコ 花

2012年07月08日 | 自然観察日記
全国どこにでもある種でありながらその花をしっかり見ることはほとんどありません。ぼわ~っと咲いたいる花や赤い実はよく分かると思いますが・・。私もその口で、ついつい見逃してしまっていました。身近であるがゆえに知らない種ですね。花弁は5裂し雄しべも5本、短い雌しべ中央にあります。絵では分かりにくいのですが、先端が3裂しています。とても地味な花なのです。しかし、花は地味でもこの季節の赤い実は里山では貴重です。林の縁にあって素敵な彩りを添えてくれます。