森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

トウテイラン

2013年02月20日 | 自然観察日記
ここ仙石原性地植物園では、箱根近辺の種ばかりでなく全国から様々な種も持ち込み展示されている部分もあります。園路脇に生えているとついこの地域にあるものと錯覚してしまいますから、しっかりと区分けなどした方がいいですね。これは区分けされた一角にあったトウテイランという種です。今までこの種の認識がなく、まだ花もありましたからしばし見入ってしまいました。公園の花壇にも外国種でこのような姿をしたのが植え込まれていたようにもおもいますが、これが日本の在来種なのだとかで驚きました。隠岐などにある絶滅危惧種。貴重なものを見ることができました。

トウテイラン 花

2013年02月20日 | 自然観察日記
後で調べて分かったことですが、海岸などの環境の厳しい場所に生育する種のようです。野生の個体が極めて減少しているようですから厳重な保護が必要ですね。この種以外に認識していない絶滅危惧種が非常に多くあります。レッドデーターブックを紐解くと初めて知る名前もたくさん出てきます。広く分布している種でも時にその地方で特異に変化した個体群がある場合はそれもリストに加えられることがあります。日本には多種多様な環境があって、多種多様な種があるということですね。多種多様であるがゆえに個体数が少ないという事情があります。

ホソエカエデ 葉

2013年02月19日 | 自然観察日記
ホソエカエデです。ウリハダカエデのようでもあり見慣れないと判別が難しいのですが、葉柄が長く赤く色づくことで見極められます。また、葉の大きさは似たり寄ったりですが葉の切れ込みはさらに浅い感じです。少ない種でもちろん県内にはないと思います。

オオモミジ 葉

2013年02月19日 | 自然観察日記
これも県内にはない種です。結構、北にも分布する種ですが多雪地帯にはないとされます。葉の縁は細かな短鋸歯ですから鋸歯のないイタヤカエデのようにみえます。県内にあるヤマモミジの縁を滑らかにしたものと思えばだいたいのイメージがわかります。
サクラと同様カエデは日本人がとても好む植物ですから分類も細かく、かつ多種多様な園芸種ができていますね。おまけにカエデの仲間も他の植物と同様かなり地方によって変わった顔になりますから、何が自生種か園芸種なのか戸惑うことがしばしばあります。パーフェクトでなくとももっと簡単なテキストがあるといいのかとも思います。と言いつつ大事なことは現物をしっかり観察することから始まりますから、日々の努力が必要です。ここにはその他10種類くらいのカエデの仲間がありましたから見て回るといい学習になります。

オオイタヤメイゲツ 葉

2013年02月18日 | 自然観察日記
季節がらカエデの仲間が気になりました。ここにはいろいろな種が入っていて、カエデの学習にはいい場所かもしれません。オオイタヤメイゲツ、まず名前で魅かれます。ハウチワカエデによく似ていて素人目には判別がつきにくい種ですが、葉の切れ込みはハウチワカエデより多く浅い感じで、色彩は黄緑色が強いように思います。太平洋側の種です。

ウリカエデ

2013年02月18日 | 自然観察日記
これも県内では見かけない種で、県内に多く名前も似ているウリハダカエデに比べ葉は小さく切れ込みも浅い。実の付き方や葉の繁り方も密のような気がします。樹肌はウリハダと同じように緑色をみせます。葉の色の変化からみてこの種は赤く紅葉するようです。

ミツバウツギ 葉

2013年02月17日 | 自然観察日記
ちょっと懐かしい種が出てきました。ミツバウツギ、県内でもまれにみられるもので私は妙高地内で観察した記憶があります。ややくたびれかけた個体でしたが、3小葉からできていることを確認して昔の記憶をたどります。花のイメージが良く思い出せないのですが、ウツギの花に似ているとはいえ全くの別科。ミツバウツギ科を構成します。実の様子からカエデ科に近いとされます。

コクサギ 葉序

2013年02月17日 | 自然観察日記
葉の付き方を葉序といいますが、「コクサギ型」という名前がつくほど有名なものですね。コクサギは新潟にはなく太平洋側に来るとごく普通にあるので、新潟との違いを意識するにはいい樹種です。とにかく葉の並びが面白いのでつい数えたくなりますね。右側に2枚、左側に2枚・・交互にてできます。不思議だなぁ!「くさぎ」というくらいですから匂いもあるようですが、考えれば葉ばかり見て匂いを嗅いだことがありません。あまりいい匂いではないのかな?越後にもコクサギ型葉序の種はあります。見落としがちですがイソノキが代表でしょうか。

シラタマホシクサ

2013年02月16日 | 自然観察日記
この種も初めて見るものです。子ども頃に水田に似たようなものが普通に生えていた記憶があるのですが、これはホシクサという水田雑草といわれていたもの。しかし、農薬などのせいで全く見かけなくなりました。その干し草よりもっと珍しいそしてきれいな種がこのシラタマホシクサ。どこに自生しているのか調べると、東海地方にごく稀に見られるものだそうです。ホシクサ科の植物はほとんど調べたことがありません。県内にどういう種があるのか?水田などの湿地性のグループのようですが、もともと存在が地味で目に留まることもなかなかないのが言い訳です。

シラタマホシクサ 花

2013年02月16日 | 自然観察日記
花というより花穂。細かな花が金平糖のように集まっています。で、別名がコンペイトウグサだそうです。もこもこした丸い物体で、何がどうなっているのか肉眼では判別できません。花をもぎ取ってルーペで見るわけにもいかないので、今回は写真を撮っておしまい。およそ1cmはありますからたくさん集まると面白い景観になるようで産地では売り物にしているとか。しかし、ここ仙石原湿原植物園ではごく少数の花を見るにとどまりました。もっとも、花の時期でもないですね。

サンショウバラ ①

2013年02月15日 | 自然観察日記
園の入り口をわずかに進んだところに園路を挟んで対になって覆いかぶさっている木がありました。一瞬何かわからずかなりまじまじとあちこちを観察したものです。表示もなく(分かりづらいところにあったのですが)かなり思案しました。細かな小葉をもつ棘が著しい灌木。灌木と言っても茎の径は10cmは超えていますからかなりの老木。花はありませんから僅かに残っている実を見てようやく的を絞りました。バラ科の種であるということはまちがいありません。
実は、サンショウバラという種は図説でしか見ていないものですから目の前のものがそれであるというのはなかなか結び付きません。見えにくい札を見つけて初めて納得しましてね。バラのイメージを壊してしまう種です。

サンショウバラ ②

2013年02月15日 | 自然観察日記
サンショウバラは箱根近辺が分布地でまさにこの地を代表する植物なのですね。マメザクラはそういう種だとは知っていましたが、サンショウバラも富士山や箱根を特徴づける存在なのです。

サンショウバラ ③ 果実

2013年02月15日 | 自然観察日記
なんとも不思議な果実です。バラ科の種であることは容易に検討はつくのですが、バラの果実と思う人はバラを栽培している人も思いつかないかもしれません。サンショウバラを栽培しているという人は公園に来ておられるバラボランティアの人から聞いたことがありませんから、原種のバラは
栽培の対象にはなりにくいのでしょう。バラの実まで棘がある種は他にはあるのでしょうか。せめて赤い色になってくれるとわかりが良いかもしれません。葉は確かにサンショウをイメージさせるものです。

スズカケソウ ①

2013年02月14日 | 自然観察日記
ここにも幻の植物がありました。さすが仙石原湿性植物園といったところです。花が見たいなぁ・・と率直に思いました。どこが自生地なのかわかりませんが、絶滅危惧種に指定されているはずで、夏にここに来れば花が見れると分かっただけでも満足することにします。ゴマノハグサ科の種で、腋に数個の濃青色の花を付けます。これは花のあと残ったがくです。結構毛が多い種です。

スズカケソウ ②

2013年02月14日 | 自然観察日記
角度を変えてもう一枚。花がなく葉だけの写真では何とも味気ない提示ではありますが、貴重なものだということで我慢していただくほかにはないですね。時間とお金の余裕があれば、全国の植物観察行脚でもしたいところです。とはいっても一人で楽しんでばかりいてはいけません。今年も人に伝えることを自分の課題にして過ごすことにしています。