森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

マユミ

2015年06月19日 | 自然観察日記
我が家の庭にマユミの低木が数本あります。毎年ヒトリガの仲間の幼虫の食害に合って消毒を怠ると丸坊主にされてしまうのですが、この虫が発生する前におびただしいほどの花をつけます。地味な花ですからおびただしいといっても存在感がまるでありません。秋の赤い実が楽しみで植えているのですが、面白いことに実がたくさん付く個体と全くつかない個体がいます。この種は雌雄異株ではなく両性花とされるのですが、この事実をどう解釈したらよいのでしょうか。結実する個体の下にはたくさんの実生個体がありますが、実をつけない個体の下には当然全くありません。雌雄異株ではないかといいたいくらいです。

マユミの花

2015年06月19日 | 自然観察日記
マユミの花は雄しべも雌しべもあり両性花であるようです。そういえば丘陵公園にトチノキが植えられているのですが、この樹にも実をたくさんつける樹と全くつけない樹があります。雌雄同株で両性花をつける種とされますから、このマユミと同様奇異な感じです。個人的な解釈として雌雄同株両性花とされていても個体によっては「雄的」に働く株と「雌的」に働く株があるのではないかということです。雌雄異株へ進化する初期的な段階ととらえるとこの現象もそれなりに理解されると思うのですが・・。

オクノフウリンウメモドキ

2015年06月18日 | 自然観察日記
モチノキ科の低木で比較的浅い山地に時々見かけていましたが、この個体は20代のころでしょうか魚沼の里山を歩いていた時に見つけて連れてきたものです。幼木でしたが、30~40年たってもせいぜい2m強。全然大きな樹にはなりませんが、少し株立ち状態になってきたでしょうか。当時、雌雄異株とは知らずに持ち帰ったものの雌雄別株と知らされてかなり落胆したものでした。しかしです。この株はしっかりと結実して秋には赤い実をつけます。発芽能力のある種子を作っているのかは分かりませんが、赤い実がけっこうたくさん実ります。しかし、木の下に実生株に気づいたことがありませんから発芽能力がない種子なのかもしれません。
風流な名前で気に入っている種なのですが、なかなか自然界では観る機会がないものです。近県では絶滅危惧種扱いになっているようで県内でも早晩指定される可能性もあるかもしれません。日本海側に生育する種です。

オクノフウリンウメモドキの花

2015年06月18日 | 自然観察日記
普通は5枚の花弁と思いますが、この個体には7枚とか6枚とかの変わり種が多く見られます。このあたりが雌雄異株とされながら種子を結ぶこととの関係があるのか・・などと自己流に解釈しています。そういえば、サルナシも雌雄異株とされる種なのですが、1本で実を結ぶ個体があり先日その個体をいただいたばかりで興味津々で観察をしているところです。図説などで雌雄異株とされながらも実態はそうではないものが意外に多いのかもしれません。研究資料を学んで利用することは大切なことですが、それ以上に実物そのものがより重要です。真実は書にあるのではなく実物にあると諭してくれた先生がいましたね。

ハルユキノシタ

2015年06月17日 | 自然観察日記
早春に糸魚川で見たハルユキノシタです。県内では主に県南に生育するとみられる特殊な分布をする種として紹介したものですが、弥彦山塊にもあるとしたのですが期せずしてご当人が出てきました。丸みのある葉の形態は糸魚川で見たものと同じです。この種は米山や魚沼あるいは津川などにはないのですから、そういう意味でも植物の分布という観点から弥彦山塊の特殊性が浮き彫りにされますね。

アワブキの葉

2015年06月17日 | 自然観察日記
アワブキも生育しています。大きめの葉で平行脈が特徴的です。主に海岸線の暖かい地域に見られる印象ですが、弥彦山塊に自生していても特段違和感がありません。個人的には新津丘陵での印象が強く、これから奥の阿賀野川沿いにも生育しているようです。かつては海岸線がずっと内陸に広がっていたと考えられますから、現在の海岸線と離れていても納得がいきます。この樹は水っぽくて切ると泡を吹くのでこんな名前が付られたとか(花が泡のように見えるという説も)。

タニギキョウ

2015年06月16日 | 自然観察日記
軟弱な小さな多年草。沢筋など幾分湿り気のある半日陰に生育する種です。結構群生するので、一つ気づくと付近に数十cm程度の群落を作っているのが見つかることもあります。近づいてみるとなかなか愛らしい整った形の花です。キキョウ科の植物。

トウヒレンの仲間 その1

2015年06月15日 | 自然観察日記
オヤマボクチとほぼ同じ場所には非常によく似た種が自生していて正体が分かりません。葉の表側を見る限りでは色彩の違いなどわずかな差異を認めますが、「個体変異の範囲?」と思ってしまうほどです。

トウヒレンの仲間 その3

2015年06月15日 | 自然観察日記
葉裏を比較すると歴然としています。純白のオヤマボクチに対して緑色トウヒレンの仲間の○○。ところで、先日小千谷のYさんがカクダトウヒレンなるものを主張されているセミナーがあったようで、残念ながらそこには参加できませんでしたが、その話を小耳にはさんだ時に何かストンと落ちた気がしました。彼のいうものかどうかは後に付き合わせるとして、図説には記載されていないいわゆる新種扱いになると思うのですが、そうだとすると至極納得できるのです。アザミの仲間やそれに近い種にはまだまだ未知のものが多いという話を聞いたことがあります。

オヤマボクチ

2015年06月14日 | 自然観察日記
地元の人が「ヤマゴボウ」などともいう有用な山菜です。大きな葉が特徴的ですから見つけやすい存在。とはいっても個体数には村があって、比較的あまり里に近い場所にはないという印象です。弥彦山登山道でもかなり上に上がって、沢筋から離れて尾根に差し掛かったあたりから目につくようになってきました。

オヤマボクチの葉裏

2015年06月14日 | 自然観察日記
葉の裏が真っ白なのが特徴です。綿毛がびっしりあり、葉を乾燥して後これを取り出して「火口(ほくち)」に使ったことからの名前だそうですが、蕎麦のつなぎに利用するという話や笹団子に入れて加工するなどという食に関する話が越後では多いですね。花はアザミのような花で大きな頭状花をつけます。

シオガマギク

2015年06月13日 | 自然観察日記
今回、初めて見るものや種を特定できないものがいくつかあって未だ調べている最中という状態です。このシオガマギクもいままで知らなかった種なのですが、弥彦山塊には貴重な種がいろいろあるものだと深い感銘を覚えた次第。不思議な山塊です。図鑑で花を確認しましたが、トモエシオガマに似ている感じです。沢筋の幾分湿度が高めの場所に自生していました。

シオガマギクの葉

2015年06月13日 | 自然観察日記
ゴマノハグサ科の半寄生植物とされます。県内の分布が面白いのですが、この弥彦山塊以外に飯豊連峰や苗場山付近、妙高や雨飾山などの亜高山から高山帯に採集の記録がありました。弥彦山塊が古くにはこれらの山々と同じような地理的環境があったことを想像させます。佐渡のドンデン山にも生育しているそうです。