森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

アヤメの花

2015年07月06日 | 自然観察日記
「いづれ菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)・・」。アヤメは花弁の基部が綾目織に似た文様が特徴で、カキツバタは同じ位置に白い線が走ります。ちなみにノハナショウブは黄色い線になります。花が終わった後いっても遅咲きの個体は必ずいるものです。尾根の片隅に一輪咲いていました。しかし、花の色は薄めの青い色。里山の近辺で見る濃紺の種とは印象がまるで違います。経験的に、上州の山地で見るアヤメの花色はこれと同じで薄めの青い色。私の中ではアヤメの色はこの色なのです。あの濃紺のアヤメはどうも馴染めません。

シャジクソウ

2015年07月05日 | 自然観察日記
見慣れない花に出会いました。一見して初めての種であることが分かり、湯の丸に来た甲斐があったという気分です。池の平湿原を取り巻く尾根道に所々に見られます。湿原は失望しっぱなしでしたが尾根の散策は実に充実していて興奮のしっぱなしというところ。

シャジクソウの花

2015年07月05日 | 自然観察日記
マメ科の花であることは一目瞭然なのですが、色といい形といい実に愛らしい花です。一瞬思い浮かんだのがレンリソウというマメ科の高山植物。図鑑の写真を思い出して見ましたが決め手に欠きます。たまたま出会ったレンジャーの人に聞いてシャジクソウと認識しました。後で知ったことですが、このシャジクソウは分布が限られていて、長野や群馬の一角にしかない花ですからとても貴重な体験をしたということになります。

シャジクソウの葉

2015年07月05日 | 自然観察日記
名前の由来は小葉が軸に対して車状に出ることからだそうです。分類的にはシロツメクサと同属なのだそうで意外です。イメージ的にシロツメクサの傍若無人ぶりな種に対して控えめな大和撫子という感じです。

イワカガミの群落

2015年07月04日 | 自然観察日記
池の平湿原の駐車場を降りてすぐに目についたのがイワカガミの群落でした。この山域にはとても個体数が多いように感じましたが、目の前の群落は個体数の多さが際立っいます。開花していた花の密度の高さがそう思わせたのですが、散策していた範囲ではこの地点以上のところはありませんでしたね。

イワカガミの花

2015年07月04日 | 自然観察日記
実はオオイワカガミとイワカガミの明確な区別点がいまだに理解していないのですが、越後の里山の個体と池の平の個体は明らかに葉の大きさが異なりますから違う種のように見えます。ところが、たとえば苗場の小松原湿原に行けばオオイワカガミとイワカガミがほとんど連続していて両者は区別しがたい場面があります。もう一種コイワカガミという種があるそうですが、この種との区別も不明瞭であることを認識しました。コイワカガミは明らかな葉や花が小型なのですが、イワカガミとオオイワカガミは花の大きさはあまり差がないように思えます。見慣れている花と思っていた種なのですが、案外知らないことに愕然としました。

湯の丸 池の平湿原

2015年07月03日 | 風景
浅間山に続く山塊で三方ケ峰(2040m)がありますが、この直下に池の平湿原があります。ツツジで有名な湯の丸高原に隣接していていますから、「湯の丸」といったほうが場所がイメージしやすいのではないでしょうか。
6月下旬、幾分雨模様の日に湿原を取り巻く尾根と湿原の散策に興じました。越後にはない独特な植物もあり起伏の少ない山道を堪能しました。所々千曲川沿いに連なる家並の遠景も望めるような展望のよい場所もあり、まさに天空の散歩といった風情でした。
この絵は鏡池となづけられた湿原内の最大のビューポイント。人の気配がしない小雨の中、神秘的な風情を醸し出しています。
いろいろな発見がありました。いろいろな植物を観察できました。しばらくは、この地域で観て触れた植物を取り上げてみようと思います。

乾燥化が進む池の平湿原

2015年07月03日 | 自然観察日記
実は、湿原を歩いてササの繁茂の多さに少々がっかりさせられました。ほぼ全面にミヤコザサでしょうか湿原を覆い尽くしています。木道脇はササが刈ってあって、刈った場所になんとかかつて湿原に繁茂していただろう草花が生育しているという状態です。ササを駆除しない限り魅力ある湿原にはなれないのは明白なのですが、この広大な湿原を人為でササ刈などをすることは不可能なこと。また、乾燥して陸化するのも自然現象でもありますから、ササ刈りなど邪道かもしれません。しかし、ササが無くなれば多くの美しい花を咲かせる種が復活することが分かっていますから、どちらが価値があるのかを考えると大規模なササ刈りを行うのも一方なような気もします。大規模なボランティアで湿原再生プロジェクトのようなものが組まれれば蘇りも不可能ではないでしょう。

ササに侵された湿原

2015年07月03日 | 自然観察日記
木道が湿原の縁に作られていています。そのあたりは大きな礫がごろごろしていて長い年月のうちに礫上にさまざまな植物で覆われるようになったようですが、その下の湿地の部分はササがびっしりとはびこっています。ササの地下茎が伸びてこない礫上に避難しているという風情です。

ササの入らない本来の植生(非湿地性部)

2015年07月03日 | 自然観察日記
もともとこの山塊は浅間山などの火山でできた荒原がもとになっている乾性遷移でできてきた植生です。湿原の縁のやや高い場所には火山性の礫などがゴロゴロしていたのか、ガンコウランなどの高山植物で覆われている塊が随所に見られます。しかし、ここにもササの侵入が始まっている場所が多くあっていずれ、この多様性のある塊もササ原に埋没してしまうことになるのでしょうか。

ヒメヤシャブシ

2015年07月02日 | 自然観察日記
日本海側の山地に自生する低木で、別名ガケシバリ、ヤマシバリなどともいわれる通り崩壊しやすい山肌にべたっと張り付いて生育している姿を目にします。多雪地で雪崩などに会い易い斜面に平然と生活しているさまはまさに雪国仕様。しなやかで丈夫です。こういう性質を見て全国の土木工事で利用されているそうで、本来の自生地でない場所にも今は多く生育しているのだそうです。

ヒメヤシャブシの花

2015年07月02日 | 自然観察日記
場所が田子倉湖の峠越えの位置でしたから多少高度が高かったので、ヒメヤシャブシはまだ花盛りです。雄花(尾状花序)と雌花が同居していました。ヒメヤシャブシもよく探すと昨年の果実が残っているのですが、ヤマハンノキのように目立ちません。果実が単に小さいだけではないと思うのですが・・・。

ケヤマハンノキ

2015年07月01日 | 自然観察日記
高清水自然公園を後にして、しばらく行くと道路わきに黒い実をたくさんつけた高木が出てきました。山の斜面にありますから足元を確認しながらの観察です。カメラを望遠入して撮影してもピントがなかなかうまくいかず何度も撮り直し。ようやく我慢できそうな一枚を撮ったという次第。ケヤマハンノキの高木でした。

ケヤマハンノキの古い果実

2015年07月01日 | 自然観察日記
垂れ下がった枝をようやく引っ張ってきて昨年の果実を記録しました。ハンノキの仲間にしては古い果実が新鮮に見えよく目立ちます。もう種子は残っていないはずで、用済みなはずなのですがすごい自己主張をしています。緑色に映える黒い実、ここに積極的な意味合いがあるとすれば何だろうかな?などと勝手な妄想をしてみました。