今年もまたアカモノに合えました。別名イワハゼ。花の頃より赤い実の頃の方が印象深いのですが、まだ花の季節真っ最中で、釣鐘状の小型のツツジの花を沢山見せていました。とはいってもやや薄い色彩ですから実ほど目立ちません。優しい感じの花を楽しみながら先に進むという風情です。
こちらは花が終わった直後の若い実です。花が下向きに咲くのでつぼみは横向きから下向きに。しかし、花の終わったあとは上を向くため実は上を向いて熟します。もう半月もすれば真っ赤な実になり「赤物」という名前の通りのものになります。
一角に白い小さな花が群れている場所がありました。近づいてみるとそれはツマトリソウ。高原の草地に行けば普通に見られる種で、特別珍しいものではありませんが、これだけ密生している場所はなかなか出会いません。条件が整えばこういう生態を見せる種であることを学びました。
「妻とり草」というイメージでいた頃が懐かしく思います。未婚者の多い昨今、この花の「恩恵」を受けて結ばれる世の中であるといいなぁ、などと勝手な理屈をこねまわしてしまいます。
「妻とり草」というイメージでいた頃が懐かしく思います。未婚者の多い昨今、この花の「恩恵」を受けて結ばれる世の中であるといいなぁ、などと勝手な理屈をこねまわしてしまいます。
ツマトリソウはサクラソウ科の種。6枚から8枚の花弁があり離弁の花のように見えますが、合弁の花で散るときはおしべもろとも落下します。あまり気づかないのですが、若い花には薄く紅が先端にさしていて、これが「端(つま)を縁取る」ということから名づいたものというのだそうです。いづれにせと愛らしい花です。
ミネヤナギと共に目立った低木がクロウスゴでした。クロマメノキと間違えやすい種、事実いろいろ見ていると混乱する事態に。クロマメノキの方が多いというような先入観があって、クロウスゴがクロマメノキに思えてくるあたりがまだ勉強の足りないところ。家に帰ってじっくり調べてみるとクロウスゴと分かり、かなり反省。しかし、クロマメノキも混在していて今までの経験上両種の存在比率が逆転している場所なのです。
葉とあまり変わらない色彩でまた茂みに隠れ気味に咲いているため花の目立たないこと!よく探すとパラパラと咲いているのが確認できます。花数が少ないのが少々疑問で、たわわに実っているクロマメノキやクロウスゴの姿と合致しません。今年は実成が悪い年なのでしょう。
正直言ってクロマメノキとクロウスゴは花や葉では区別しにくくとても間違いやすい種です。決め手は花の付く位置で昨年の枝に付くのがクロマメノキ、今年の枝の腋に付くのがクロウスゴですから、ここを最初に調べれば混乱はしません。花が少なく仕方なく葉や全体の印象で判断するとしばしば間違えてしまうということでしょうか。
イネ科の種です。あまりこのグループは取り上げないことにしているのですが、比較的わかりやすいのと高山帯では目立つ植物ですから注目してみました。ススキのイメージはなく細い針金のような葉が印象的。それが、ハリネズミのように高山荒原にもこもことある姿が面白いと感じてしまいます。定かではありませんが、高山の岩石地帯にはほとんどあるのではないかと思えるほど一般的な種という気がしています。
小穂(しょうすい)といっても分かりにくいので、ざっくり花が実になったものとでも言ったほうがこの場合は分かりが良いかもしれません。他のイネ科植物に比べまばらに開出する実が特徴的です。まるで米粒みたいな印象があるから「コメ」という名前が付いたのではと考えています。
芳ヶ平湿原に向かう白根山の山腹に伸びている登山道は高山荒原と火山荒原がミックスしたような様態で、地衣類やツツジ科の低木で地表が覆われているところが多くあります。そういう中にラン科植物がかなりたくさん生育していて、普通ツレサギソウ属の種はあまり目につくものではないのですが、ここでは逆でとても目立ちます。
これは、ガンコウランの群落に混じって生育していたものです。
これは、ガンコウランの群落に混じって生育していたものです。