ノギランより多く出現したのはネバリノギランです。こちらの方がやや高所に多い種で低地では確認した記憶がありません。芳ヶ平湿原に近い草地にところどころ生育しています。日本固有種ですが西日本には生育していないそうです。
ノギランに比べ厚みのある感じの葉でやや細身です。ロゼット状に地表に広がる種はショウジョウバカマ、ノギラン、ネバリノギラン、シライトソウなどがありますが、いずれもよく似ていて葉だけでは間違うこともしばしば。種が違いながらも求める環境は同じような性質があると考えています。
ノギランは里山にも自生していますが、高山のノギランはかなり雰囲気が違います。花穂がほっそりしていることと花の色彩がやや赤みを帯びるように思います。低地のものと特に区別はしていないようですので一つの変異として理解していますが、うっかりするとネバリノギランに間違えてしまうほどです。花軸を触ってみれば粘らないのでネバリノギランとは異なることはすぐに分かりますが。
芳ヶ平湿原への散策道は火山荒原の部分が多く植生としては比較的疎でやや単純なものでしたが、イタドリの生態が面白く感じました。これはやや適湿な場所に形成されていたイタドリの群落です。他の種に先んじて空間を占有したことも見ると先駆植物としての働きは十分持ち合わせているようです。
砂礫の原にイタドリが生育しています。根茎がつながっているのでしょう、ほかの種が入り込まない前にコロニーを形成しつつあります。紫外線が強いためか葉が褐色に色づいたいわゆる銅葉になっているあたりも興味深い点です。