イタドリの花が赤みを帯びたものをメイゲツソウ(ベニイタドリ)と言いますが、白根山の周辺は多く見られます。イタドリと性質は極似していると思われますから、いちいち区別することはしていません。これは雌株のようです。
ワタスゲに混じって少し毛色の異なるサギスゲが混在していました。注意深く観察しないと見逃してしまいますが、穂の長さが長いのでそれと分かります。サギスゲが生育している場所にはワタスゲはなく一定の広がりでコロニーを作っているように感じました。
ワタスゲそのものは珍しいものではありません。高海抜のちょっとした湿地ならだいたい見られます。しかし、群生している景観が人を引き付けるため大規模な湿原のワタスゲ群落が注目されます。芳ヶ平湿原もそういう湿原で、湿原を取り囲む高台にはシャクナゲ類が高密度で生育しているため両者の共演はすばらしいものがあります。今回はややタイミングが遅かったため圧巻というほどではありませんでしたが、シャクナゲの花もまずまずありその片鱗をうかがい知ることができました。
ワタスゲの種が確認できます。たくさんの白い毛をまといその中央に小さな種があります。遠くまで風で飛ばされることもあるのでしょうが、多くは近くの草木の葉の上などに落ちています。一つの種に数十本の毛がついていることが分かります。
芳が平湿原は周回コースが1km弱ですがその外側に広大な湿原が広がっています。ここがワタスゲで満たされると圧巻の景観になりますね。しかし、生育密度がおそらく均一でないために全面が白くなることはないかもしれません。
群馬県と長野県の県境付近、草津温泉の奥に芳ケ平湿原があります。ラムサール条約の登録湿地に2015年になったようですが、以前から一度は訪れてみたい場所と考えていました。ところが3年前でしょうか、白根山が噴火の予兆があるとかで志賀草津道路に交通規制がかかり、芳ケ平湿原の拠点と考えていたレストハウスが使用禁止で道路も通行できるものの停車禁止という規制が続いていました。それが最近ようやく以前と同じような使用ができるということを知りさっそく出かけました。7月の下旬、雨の多いこの夏場でしたが運よく晴天で散策にはもってこいの条件。楽しい一時を過ごしました。暫くは芳ヶ湿原と隣接する本白根山の草花を見ていきたいと思います。
駐車場から1時間ほど歩くと芳ヶ平湿原に着きます。やや海抜が高いのでしょう、ここはまだワタスゲが見られました。ピークは過ぎたようですが、まだまだ素晴らしい景観を見せていました。訪れる人も少なく静かな桃源郷でした。