イヌシデとの区別は葉脈の数が便利です。10本前後ならアカシデと考えます。イヌシデは10本以上で15本くらいあります。また、先端が尾状に尖る葉であればアカシデ、伸びない葉であればイヌシデです。という知識を持っていても現物を見ると紛らわしいものも多く判断に迷うことも多いものです。あとは場数を増やすといいますか何回も何回も観察する以外にないですね。
シモツケ属の一種にアイヅシモツケという種があります。新潟県内には自生はあるということらしいのですが極めてまれで、私は出会ったことはありません。もっとも、シモツケ属にこの種があることさえ知りませんでしたから不勉強この上ない話です。高山にはイワシモツケやマルバシモツケが自生していますから白い花のシモツケはこの二種くらいであろうと思い込んでいたのですが、樹形が長めの枝がシダレ気味ですからマルバシモツケなどの引き締まった姿ではありません。花の季節は春ですから花序の姿は本来の感じではないようです。太平洋側の低山から山地帯に自生する種のようです。
葉一枚一枚の形質も大切なのですが、この種に関しては樹形に重きを置いたほうが良いかもしれません。コデマリに似た姿と評されていますから、ふんわりと盛り上がり先がシダレながら花を枝にたくさん付けるというイメージです。
オケラが沢山作られている近くにさらに広い面積にフジバカマの原がありました。秋の七草のひとつ、花盛りでなかなか見事な景観です。カメラを片手にたくさんの人が行ったり来たりで他の場所とは異質な雰囲気。きれいな花ですがカメラマンをこんなに引き付けるとはちょっと不思議でしたが、近づいて観て納得です。
アサギマダラは海峡を渡る蝶として有名です。遠く南の島から日本の各地に飛翔してくるのだそうです。にわかには信じがたいのですがすごい能力を持っている蝶です。夏から秋に高い場所に来ると時々舞っているのを見かけますが、ヒヨドリバナなどのキク科植物に集まることは何度か目撃しています。丘陵公園の里山フィールドミュージアムにも飛翔したことがあります。
秋の七草のひとつのフジバカマ。この種はもともと日本に自生していたものでないとされ、かなり古い帰化植物なのだそうです。古来河原や人里近くに定着しかなり人の暮らしの中に馴染んできた種なのでしょう。いつしか日本の顔になってきたと思います。しかし、今は身近に見ることはなく絶滅危惧種扱いで野生のものはないのです。ただ、栽培されているものが多く比較的目にすることは多い花です。独特な香りのする花です。野生のフジバカマの花がないので秋の七草を話すときには代わりにヒヨドリバナやサワヒヨドリを代用するのだと話をしています。
久しぶりのオケラです。変わった名前で、昆虫にも同じ名前のものがいますがこれはキク科の多年草。新潟県内では自生はないのではと思います。しかし、太平洋側の林の縁には普通に見られる種です。昔、静岡の日本平の周辺を散策した時にコウヤボウキとオケラを初めて観察したことを思い出しました。山形に自生しているわけですから新潟にないというのが不思議な気がします。植物の分布というのがどういう歴史で生じて来たのか興味深いことです。
野草園の一角がオケラで埋め尽くされています。栽培されているのですが、薬草に利用されることがあるようですからそんな意図があるのでしょうか。特別花が綺麗なわけではなく景観つくりにはあまり適している種ではないとおもうのですが。
スギ林を整備した中にポツンとヤマシャクヤクがありました。かなり違和感のある状態です。普通落葉樹林の林床に生育する種と考えられますが、スギ林に植栽したとも考えられませんから植林されたスギの林で発芽成長してきた個体と考えています。草刈りの祭に保護され残っているのでしょう。実の季節というより完熟し種子が現れてきた時期です。