園内は広く中国式庭園やハーブ園などもあり日本の種だけが展示されているわけではではありません。規模は大きくないもののエリアが区切られています。ハスはサワギキョウなどと一緒にありましたからあまり生態にはこだわりがない感じです。もちろんインド原産の種ですから植栽されたもの。いわゆるレンコンではなくハナハスといわれるものでしょう。花も葉も小型です。レンコンは地下茎が肥大する系統です。ハナハスは先端の地下茎がやや肥大する傾向がありますがほとんど肥大しません。
実はこのハナハスを取り上げたのは花にモリアオガエルが潜んでいたためです。モリアオガエルはれっきとした在来種。ハスの花にはお釈迦さまというのはしばしば聞く話ですが、カエルが鎮座している姿はなかなかないのではと思います。くつろいでいるのでしょうか、かなり大きな個体です。一般には虫が飛んでくるのを待っていると考えるのでしょうが面白い光景でした。もちろん初めて。
こういう姿はときどき見るものです。虫がカビに侵されています。冬虫夏草というきのこの仲間がいますがそのグループにするのでしょうが門外漢で詳細は不明です。ただ、カビや冬虫夏草の胞子が目的の虫に付いたときは恐ろしい速さで発芽成長しあっという間に体内を犯してしまうのだと聞かされたことがあります。真偽ははっきりしませんが、草に止まったままの状態でカビにやられている姿を見るとあながち嘘ではなさそうです。生き物の世界には何と不思議なことが多いことか、またまた感心させられます。
スイレンの花を探しているときにネコヤナギの名板がついた株が目に留まりました。ネコヤナギは名前はよく聞くのに実物を目にする機会が少ない不思議な種です。わざわざ名板をつけてあるのもこの地域も案外珍しいものなのかもしれません。
ヤナギの仲間は難しいグループです。ネコヤナギは花の頃は比較的わかりやすいのですが、この頃は決して分かり易いとは言えません。それでも灌木であること葉の形がやや幅広の長楕円形であるなどの特徴で検討をつけます。
河原には普通にあるといわれますが、私の経験では長岡あたりではあまり気づきません。探しようの問題もあると思いますが意外と難しい。少なくても丘陵公園の里山フィールドミュージアムエリアにはまだ確認できていません。身近にありそうでない種なのです。
広大な山形市野草園、その中ほどに大きな池があります。水鳥が憩う水面の周辺に水草がところどころに見られます。岸近くにあったものを拡大してみるとヒツジグサでした。外来のスイレン系のものではありません。当然といえば当然ですがなんとなくホッとしてしまいます。妙高のいもり池という逆さ妙高がうつる名の知れた池がありますが、ここに外来のスイレンを入れたばかりに今は大変なことになっているのです。繁茂し過ぎ根絶に躍起になっているものの手の施しようがなく途方に暮れているのだとか。綺麗だという安易な発想で物事を進めないことが肝要ですね。
池を回って岸近くに咲いていたスイレンの花です。日本のヒツジグサはいわゆるスイレンの仲間ですが、色彩は決して派手ではなく楚々とした品のある花です。花の咲く時刻が未(ひつじ)の刻(今のPM2時ころ)に咲く習性があることから名付けられていることは有名な話です。
湿地が好きなカラコギカエデも見られました。沢山群生しているような状態ではありませんが散策路脇の草藪に見られます。紅葉のきれいなカエデということになっていますが、それはもう少し先。今は静かに実の季節を過ごしています。あまり高木にはならずせいぜい5m程度の亜高木です。