正月恒例の初映画鑑賞をする。ドイツ占領下のワルシャワで動物園を経営していたヤン・アントニーナ夫妻がユダヤ人を匿い逃亡を支援したという実話の映画化だ。
杉原千畝やシンドラーがすぐ想起したが、この実話は初めて聞く内容だった。それほどに、こうした情報はいつも流布されない。シンドラーの迫力ある映画で初めて勇気ある人物がいたことを知ったのもそう遠くない。
動物も人間も命を大切にしようとする夫妻の静かな決意がみなぎる。アントニーナの娘は「母はどんな状況であっても自分が今何をすべきか直感的にわかっていた」とスタッフに語ったという。
映画「シンドラーのリスト」の予算規模・迫力には及ばないが、動物園・収容所・戦火の痕跡・爆撃の瞬間、そのどれをとっても丁寧に再現している。
監督のニキ・カーロは、「窮地に追い込まれながらも300人の救われた人がいたことを祝すと同時に、ホロコーストを描きながらも癒し、希望、心、人間性を描きたかった」という。
女性の勇気・強さということに希望を与えてくれる映画でもあるが、同時に、民族対立・テロ・ヘイトスピーチなどいまだ現代の未解決の課題を問う内容でもあったように思えてならない。