(画像はKADOKAWAwebから)
深夜TVの映画「キツツキと雨」(沖田修一監督、角川映画・配給)を観る。以前から観たいと思っていた役所広司主演の映画だ。肩肘張っていないなにげない風景の中に、コミュニケーション能力のない若者が煩悶しながら成長していく姿をさりげなく入れ込んでいる。
どこでも見かけるようなだるい若者を小栗旬が好演している。観ている側がもどかしくなるくらいの若者がじつは映画監督だったのに驚く。また、林業家・役所広司の息子もまた希望もなく東京に家出するが後半にUターンすることでホッとする。
妻を亡くして間もない「きこり」の静かすぎる日常のなかに、ムラに始まった撮影現場は刺激になっていく。彼はだんだんとそのとりこになっていく。そのことが若い映画監督が立ち直るきっかけになっていく。
「キツツキ」とは、森に生きる「きこり」を表し、「雨」とは、新人映画監督が自立していく象徴でもある。映画のキャッチコピーが「雨でもきっと晴れるさ」が映画を貫くテーマでもある。
役所広司の演技力の賜物はもちろんだが、安心して見ていられるほっこり感で感動とコメディを呼び覚ます。
沖田監督の広角のアングルの中に群衆が移動し、手製のプレゼントの新人監督イスの風景があり、どしゃぶりの雨のシーンを効果的に使っている。