茶畑を抜根した跡地には次々意外な植物が顔出しする。その多くは裸地に最初に侵出するパイオニア植物でもある。それはそのまま裸地から森への変遷を語る歴史でもあると思われる。その一つだろうか、触るのが危ない棘だらけの枝を伸ばした植物が所々に見られた。
とても素手では触れられない。それも結構な長い枝ぶりなので残念ながら途中で剪定させてもらっている。立派な鉤状の棘に痛そうな腺毛、それに羽状複葉の葉からなるのは、「コジキイチゴ」(バラ科)だった。どんなイチゴがなるのかはお楽しみということにする。名前がユニーク過ぎる。その由来を調べてみると、実の形が袋状だという、つまり中空であるらしい。以前、食べたことがある気がする。
その形状から、古来から蒸す道具である土器の「甑(コシキ)」に似ているので「コシキイチゴ」となり、訛って現在のコジキイチゴとなったという説が有力らしい。しかし、素人感覚では、乞食がこの旨いとも言えないイチゴを食べることから「乞食苺」と呼んだのではないかという我流の解釈はどうだろうか。