今日の毎日新聞朝刊(2009年12月9日)のアナウンサーの小川宏の投稿が興味
深いものだった。230万枚売れた舟木一夫の大ヒット曲「高校三年生」に関する
エピソードを少し引用する。「この歌のきっかけは2番の歌詞にあった。ある高校の
学園祭で見たフォークダンスで、男女の生徒が手をつなぐ姿を目にして大正6年
(1917年)生まれの丘さんはうらやましく思い、一気に書き上げたという。“フォーク
ダンスの手をとれば甘く匂うよ黒髪が”」。今時の高校三年生は尾崎豊の「卒業」で
さえ既に就職が決まっている男の上から目線の戯言としか受け止めないらしいから
この「高校三年生」も歌うことなどないだろうが、今となっては誰も当たり前のように
感じて気がつかない、まさに“淡い想い”を的確に詩として昇華させた丘灯至夫の
作詞家としての才能が見て取れる。現代の子供たちは余りにも早く大人になって
しまうが、このような才能は子供のような感性と大人の知性を合わせ持って初めて
成り立つものだと思う。その正反対のものを合わせ持つということは今は時代が
許さないような気がするのである。