MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ストレイヤーズ・クロニクル』

2015-07-04 18:44:14 | goo映画レビュー

原題:『ストレイヤーズ・クロニクル』
監督:瀬々敬久
脚本:瀬々敬久/喜安浩平
撮影:近藤龍人
出演:岡田将生/染谷将太/伊原剛志/豊原功補/成海璃子/松岡茉優/石橋蓮司
2015年/日本

「はぐれ者たち」の短過ぎる「クロニクル」について

 極秘機関の実験により生まれた子供たちの一方のグループは両親に強いストレスを与えることで遺伝子を突然変異させて超能力を持つようになった集団で、他方のグループは遺伝子操作によって超能力を得ることになった集団なのであるが、その代償として遺伝子を突然変異させられた荏碕昴を中心とする「チームスバル」のメンバーは「破綻」と呼ばれる精神崩壊の危機に絶えず怯えることになり、遺伝子操作された学を中心とする「チームアゲハ」のメンバーは20歳前後までしか生きられないことになる。
 あくまでも突然変異によるチームが「善」で遺伝子操作によるチームが「悪」という構図に驚きがないのであるが、そもそもどのようにして彼らが施設から逃げ出せられたのか描かれておらず、彼らの切実な思いが感じられない。実際に、公園で拉致された学が渡瀬浩一郎によって銃口を突き付けられていた時に、学を助けようとした昴との攻防によって発砲されたにも関わらず、公園にいる人々が誰も気にかけていないという状況に違和感を持ってしまうし、最後に幼い頃のメンバーたちが施設内を飛んでいるアゲハ蝶を見つめるシーンに特別な意図が感じられず何の感慨も抱けない。
 これだけの話を2時間にまとめること自体に無理があったと思うが、それ以前に瀬々敬久監督に低予算作品はともかく大作と相性が悪いような気がする。だから次回作『64-ロクヨン-』は前編と後編に分けて撮るようであるが、大作であるが故に一抹の不安を感じるのである。


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