原題:『Pan』
監督:ジョー・ライト
脚本:ジェイソン・フックス
撮影:シーマス・マクガーヴィ/ジョン・マシーソン
出演:リーヴァイ・ミラー/ヒュー・ジャックマン/ギャレット・ヘドランド/ルーニー・マーラ
2015年/アメリカ
「ティーン・スピリット」の臭いがしない作品について
冒頭の雰囲気作りは悪くない。主人公のピーターが囚われた、黒ひげが支配する世界にはニルヴァーナの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット(Smells Like Teen Spirit)」が流れており、それは最後に黒ひげが「ハウ・ロー(How Low)」と口ずさみながら落ちていくのだからメインテーマといってもいいはずで、必然的にダークなメッセージを期待してしまったのだが、ストーリーそのものはピーターが落ちていくフックを救うために空を飛んだところから一気に魔法が使えるようになり、見せ場を作らないままあっという間に黒ひげをやっつけてしまうのだから何の深みも感じられず、3Dで観ていなかったら退屈していたと思う。「この世界か、あるいは別の世界で(in this world or another)」会えるというピーターに宛てた母親メアリーの手紙の伏線も活かされておらず、ジョー・ライト監督流の「ピーターパン」の解釈に期待していただけに残念だった。