MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『起終点駅 ターミナル』

2015-11-24 00:32:41 | goo映画レビュー

原題:『起終点駅 ターミナル』
監督:篠原哲雄
脚本:長谷川康夫
出演:佐藤浩市/本田翼/中村獅童/和田正人/音尾琢真/泉谷しげる/尾野真千子
2015年/日本

本田翼の「クール」な演技について

 単身赴任で北海道の旭川で裁判官を務めていた鷲田完治は学生時代の恋人だった結城冴子と偶然再会したことをきっかけに関係が再燃し、異動と共に家族を捨てて冴子と駆け落ちするつもりだった鷲田の目の前で冴子は自殺してしまう。微笑みを浮かべながら自死する冴子と、そのような行動を全く予期しておらず慌てふためく鷲田が対照的に描かれているのであるが、これは個人的な問題ではなく、男と女の差ではないだろうか。実際に、その後釧路で弁護士として一人で生きていくことになる鷲田の隣の家に住む大村は既に妻を亡くしているようで、雨の中で花壇に水をやっていたり、鷲田の先輩である南達三は好々爺になっており、釧路地方裁判所で新人の判事補として赴任してきた森山卓志は廊下を走っている時に、注意を受けて持っていた書類を廊下にばらまいてしまうなど、本作に登場する男性たちはとにかく「落ち着き」がない。
 一方、冴子のクールさを受け継ぐように鷲田の目の前に現れた椎名敦子もクールで、約10年ぶりに戻った実家は既に廃屋同然で父親と母親と兄の子供が同じ平成18年12月7日に亡くなっていることにそれほど驚きもせず、実家の納屋で覚醒剤の作用で意識がもうろうとしていた恋人を発見しても鷲田のように介抱することもなく寧ろ死んで欲しいと願っていたりする。このような「冷酷」な女性の振る舞いに男性はあたふたするしかないのである。


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