原題:『五つ星ツーリスト THE MOVIE 〜究極の京都旅、ご案内します!!〜』
監督:島崎敏樹
脚本:森ハヤシ
撮影:木村祐一郎
出演:渡辺直美/山本裕典/寺島進/高月彩良/綾田俊樹/リー5世/有森也美
2015年/日本
「活動不足」な映画配給会社について
本作はアメリカのドキュメンタリー監督であるハンス・ウルフスタイン(Hans Wolfstein)が撮るモキュメンタリ―の手法が取られているのだが、「フェイクドキュメンタリー」の良さが出ていない。京都に興味を持ったから監督はドキュメンタリー作品を撮っているはずなのであるが、監督が無口で大人し過ぎるため、寧ろ画面の構図を考える煩わしさを省くための手法のように見えてしまう。離れた場所から撮っていても音声はクリアに聞こえるなどドキュメンタリー作品としても中途半端である。
『Mr.マックスマン』(増田哲英監督 2015年)にも感じたことなのだが、「KATSU-do」が配給している作品は低予算で撮られているのであろうが、低予算であるのだから敢えて実験的な試みをしなければ豊富な予算で撮られている作品に太刀打ちできるわけがないのであり、結果的に安手のテレビドラマのようになってしまい、昔の日本アート・シアター・ギルド(ATG)のような野心が感じられない。唯一、野心を感じたのは主演の高瀬京香を演じた渡辺直美は間違いなく山村紅葉のポジションを狙っているということくらいである。