原題:『Mayerling』
監督:アナトール・リトヴァク
脚本:イルマ・フォン・クーベ/アンドリュー・マカラ
撮影:ノン・クレジット
出演:オードリー・ヘプバーン/メル・ファーラー/レイモンド・マッセイ/イソベル・エルソム
1957年/アメリカ
謎の情死の演出について
1889年に実際に起きたオーストリア=ハンガリー帝国の皇太子ルドルフと男爵令嬢のマリー・ヴェッツェラの心中事件、いわゆる「マイヤーリング事件」を基にした物語なのだが、どうもルドルフの真意が図りかねる。
ルドルフはリベラル系の新聞記者であるモーリッツ・ツェプスと親友で父親のオーストリア皇帝のフランツ・ヨーゼフ1世から絶えず監視を付けられていたことから精神的に参っていたようだ。だからルドルフがマリーを道連れに心中した原因が禁断の愛によるものなのか狂気によるものなのかよく分からないのである。
ところが実際の事件においても原因の詳細についてはよく分かっていないようなので、そういう意味においては演出としては間違ってはいないのである。