原題:『It』
監督:アンディ・ムスキエティ
脚本:チェイス・パーマー/キャリー・フクナガ/ゲイリー・ドーベルマン
撮影:チョン・ジョンフン
出演:ジェイデン・リーバハー/ビル・スカルスガルド/フィン・ウルフハード/ソフィア・リリス
2017年/アメリカ
「それ」の正体がなかなか明らかにならない理由について
スティーヴン・キングの原作である本作は当然のことながらホラー作品ではあるものの、例えば主人公のビル・デンブロウをはじめとする少年たちの「冒険譚」は『スタンド・バイ・ミー』(ロブ・ライナー監督 1986年)を、シンクから噴き出る血で浴室と共に血まみれになる少女のベバリー・マーシュのシーンは『キャリー』(ブライアン・デ・パルマ監督 1976年)を想起させるように、本作はスティーヴン・キングの小説の集大成となる作品になると思われるのだが、本作は最後に「Chapter 1」として終わってしまい、ペニーワイズの正体は再来年に公開される続篇を観なければ分からないままである。イギリスのロックバンドXTCの「ディア・ゴッド(Dear God)」の使い方は秀逸だった。
それにしても原題である「It」を「それ」と訳する習慣はいつからついたのだろうか。辞書にも載っているように「It」は鬼ごっこの「鬼」という意味があり、実際にペニーワイズ は子供たちにつきまとって鬼のように振る舞っているのだが、字幕でも「それ」と訳してしまっており、個人的にはとても違和感を感じる。