原題:『居眠り磐音』
監督:本木克英
脚本:藤本有紀
撮影:安田雅彦
出演:松坂桃李/木村文乃/芳根京子/柄本佑/杉野遥亮/佐々木蔵之介/谷原章介/柄本明
2019年/日本
女性の「派手さ」に勝てない男性の「地味さ」について
主人公の坂崎磐音は国から江戸に出て佐々木玲圓から剣の手ほどきを受け、「居眠り剣法」と呼ばれる独特の剣術をマスターするのであるが、国に戻ってから陰謀に巻き込まれ幼馴染みの小林琴平と剣を交えることになり、斬殺したことから琴平の妹で許嫁の奈緒を置き去りにしたまま江戸に戻ってくる。
江戸では当初浪人としてウナギを捌いて糊口をしのいでいたのだが、その腕を買われて今津屋吉右衛門の用心棒を引き受ける。その頃江戸では老中の田沼意次が打ち出した通貨制度に対して賛否が分かれており、両替商の今津屋はライバルの阿波屋有楽斎に怨みをかっていたのである。
しかし本作の見どころは、こつこつと剣術の修行に励む磐音や、金と新貨幣の両替でちまちまと利ざやを稼ぐ男たちを尻目に、奈緒が花魁になる決心をしただけで、あっという間に千二百両を生み出してしまうという皮肉であろう。