MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『居眠り磐音』

2019-06-07 12:19:25 | goo映画レビュー

原題:『居眠り磐音』
監督:本木克英
脚本:藤本有紀
撮影:安田雅彦
出演:松坂桃李/木村文乃/芳根京子/柄本佑/杉野遥亮/佐々木蔵之介/谷原章介/柄本明
2019年/日本

女性の「派手さ」に勝てない男性の「地味さ」について

 主人公の坂崎磐音は国から江戸に出て佐々木玲圓から剣の手ほどきを受け、「居眠り剣法」と呼ばれる独特の剣術をマスターするのであるが、国に戻ってから陰謀に巻き込まれ幼馴染みの小林琴平と剣を交えることになり、斬殺したことから琴平の妹で許嫁の奈緒を置き去りにしたまま江戸に戻ってくる。
 江戸では当初浪人としてウナギを捌いて糊口をしのいでいたのだが、その腕を買われて今津屋吉右衛門の用心棒を引き受ける。その頃江戸では老中の田沼意次が打ち出した通貨制度に対して賛否が分かれており、両替商の今津屋はライバルの阿波屋有楽斎に怨みをかっていたのである。
 しかし本作の見どころは、こつこつと剣術の修行に励む磐音や、金と新貨幣の両替でちまちまと利ざやを稼ぐ男たちを尻目に、奈緒が花魁になる決心をしただけで、あっという間に千二百両を生み出してしまうという皮肉であろう。


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『うちの執事が言うことには』

2019-06-07 00:54:01 | goo映画レビュー

原題:『うちの執事が言うことには』
監督:久万真路
脚本:青島武
撮影:小林元
出演:永瀬廉/清原翔/神宮寺勇太/優希美青/神尾楓珠/田辺桃子/村上淳/原日出子/奥田瑛二
2019年/日本

名探偵コナンになりきれない第27代当主について

 主役の演技の問題は不問としたとしても脚本の問題は指摘しておかなければならないと思う。主人公の烏丸花穎が芽雛川肇大が主宰するパーティーに参加した際に、赤目刻弥の彼女の莉沙がトイレで襲われる事件が起こり、そこに最初に駆けつけた花穎が疑われるのだが、血を流して倒れている莉沙を別室に運ぶ時に、莉沙のバッグを一緒にもっていかなかったのは脚本ではなく演出の問題であろうし、雪倉叶絵がバスから降りた時に、スリだと言いがかりをつけられ、実際に叶絵のカバンから男性の財布が見つかり、警察に連れていかれるのだが、叶絵は男性の財布に触れていないので財布についている指紋を調べれば叶絵が無実であることは分かるという点に関しても脚本よりも演出の問題なのかもしれない。
 烏丸花穎と赤目刻弥の、埋もれた絵画「アフター・ザ・レイン(After The Rain)」を巡る葛藤はその作品が贋作だったという点なのだが、基本的に贋作というものは名を馳せた画家の作品をもとに制作するからこそ売れるのであって、無名の画家の贋作を制作する意図が分からない。これは脚本の問題と言えるであろうが、そもそもバルビゾン派の作風のような「アフター・ザ・レイン」がそれほど素晴らしい作品とも思えないのである。


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