MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ベン・イズ・バック』

2019-06-16 12:41:43 | goo映画レビュー

原題:『Ben Is Back』
監督:ピーター・ヘッジズ
脚本:ピーター・ヘッジズ
撮影:スチュアート・ドライバーグ
出演:ジュリア・ロバーツ/ルーカス・ヘッジズ/キャスリン・ニュートン/アレクサンドラ・パーク
2018年/アメリカ

キリスト教の教義を挟まずに薬物依存者と接する意味について

 『ビューティフル・ボーイ』(フェリックス・ヴァン・フルーニンゲン監督 2018年)同様に薬物依存症に苦しむ息子とその母親の物語で、詳細は描かれていないが息子がドラッグに嵌るきっかけが親の離婚と再婚という点も同じである。『ビューティフル・ボーイ』と本作の違いはキリスト教の教えが示されないことで、治療施設からクリスマスイブに突然帰って来た息子のベン・バーンズに対して実の母親のホリーはベンを施設に戻すことなく徒手空拳でベンに接する。それは恐らく宗教が間に入ると「本当」のベンが見えなくなると思ったからであろう。実際に、ベンは自身が依存しているだけでなくドラッグの仲介をすることで他人も薬物中毒に陥れていたことを知ったホリーは愕然とするのである。
 『初恋~お父さん、チビがいなくなりました』(小林聖太郎監督 2019年)が飼い猫のチビが行方不明になったところからストーリーが動き始めたが、本作は飼い犬のポンスがいなくなったところから「地獄」が始まる。猫と犬の違いでこんなに人生が変わるのかと感じているのは私だけであろう。


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『初恋~お父さん、チビがいなくなりました』

2019-06-16 00:22:15 | goo映画レビュー

原題:『初恋~お父さん、チビがいなくなりました』
監督:小林聖太郎
脚本:本調有香
撮影:清久素延
出演:倍賞千恵子/藤竜也/市川実日子/小市慢太郎/西田尚美/佐藤流司/星由里子
2019年/日本

回収されない伏線について

 当初は、日東乳業のミルクスタンドで働いていた主人公の武井有喜子がそこに7時25分になるとやって来るサラリーマンの武井勝に一目ぼれして、その後、見合いした相手がたまたま勝だったという有喜子の「恋愛結婚説」と、最初に見合いした相手と結婚するつもりだったと言い張る勝の「見合い結婚説」の対立による気持ちのすれ違いが、熟年離婚の危機を迎えるというストーリー展開かと思いきや、ラストでとんだ純愛ドラマに変わるところが面白いと思う。
 ところで勝が有喜子に黙って密会する鈴木志津子はかつて有喜子と一緒にミルクスタンドで働いていた同僚なのだが、この伏線が何故か回収されていないのは、志津子を演じた星由里子が撮影中に体調を崩したためなのかもしれない。


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