MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ひろしま』

2019-08-30 00:56:35 | goo映画レビュー

原題:『ひろしま』
監督:関川秀雄
脚本:八木保太郎
撮影:中尾駿一郎/浦島進
出演:岡田英次/月丘夢路/加藤嘉/町田いさ子/河原崎しづ江/神田隆/薄田研二/山田五十鈴
1953年/日本

髑髏を巡る考察

 1945年の敗戦からわずか8年後に撮られた本作は、まだ復興半ばであるが故に当時の広島の地を使用することでオープンセットでは再現できないリアリティがある。
 やはりまだ知らないことはあるもので、例えば、多くの被爆者が自分が負った傷跡を隠す中で「原爆一号」と呼ばれる吉川は「Bomb Casualty Shop(爆弾による負傷者の店)」と看板を立てて(映像では綴りがCasualityとなっている)、背中に負ったケロイドを敢えて観光客に見せることで稼いでいるし、宮島では髑髏を模った土産物を売っているのだが、これは当時本当に売られていたのであろう。

 戦争孤児たちに宮島の防空壕内にあった本物の髑髏を売るようにそそのかしたのは遠藤幸夫である。

 髑髏の頭に貼ったメモに遠藤は「The first and greatest honor in the history of human shining on this head.(人類の歴史上、最初にしてかつ最大なる栄光、この頭上に輝く。)」と書いている。これは英語として事実ではあるが、日本語としてならば皮肉に聞こえる。


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