(2020年4月9日付毎日新聞朝刊)
最近、ずっこけた「政治方針」について。
3月27日の参院予算委員会で、立憲民主党の杉尾秀哉参議院議員が「昭恵夫人がグループで花見をしている写真が出回っている」と質したことに対して、安倍首相は「都内のプライベートなスペース、レストランで会合を持った際に記念撮影を行ったものだ」、「都が自粛を求めている公園での花見というような宴会という事実はない」と答え、杉尾議員が「レストランなら問題ないのか。ファーストレディの行動として適切なのか」と問いただしことに対して、安倍首相は「レストランに行ってはいけないのか。(状況などを踏まえ)正確に発言してほしい」と言い返した。問題なのは花見でもレストランでもなく、写真を見れば分かるように日本ではファーストレディーならば密閉、密集、密接の「3密」でも許されることにある。
4月1日、新型コロナウイルス感染症対策本部の会合で安倍首相は、全国5000万超の全世帯に、「日本郵政の全住所配布システム」を活用しながら布マスクを2枚ずつ配布する方針を明らかにした。今年一番のエイプリール・フールとして世界に記憶されるであろう。
4月7日、「世帯への給付金」について、「一律給付を検討した」としたうえで、結果として限定的になった理由について安倍首相は記者会見で「自民党でも一律給付の議論がありました。私たちも検討した。たとえば、たとえばですね、私たち国会議員や国家公務員は、今、この状況でも全然影響を受けていない。収入に影響を受けていないわけであります。そこに果たして、5万円とか10万円の給付をすることはどうなんだという点を考えなければならない」と述べている。低所得者のことが分からないというよりも、自分たちを軸にしてしか物事が考えられないということか。
4月8日、安倍首相が新型コロナウイルス対策として求めた「人と人との接触の8割削減」について、自民党の二階俊博幹事長は「できるわけがない。お願いベースだ。国民はよく理解している」と述べた。政権政党の要人が既に諦めている。
4月10日、小池百合子東京都知事が休業要請した中小企業に協力金を支給することを発表したことに関して、麻生太郎財務大臣は「東京はそれで払うだけの資金が東京都は持っているんだろうね。ただ他の県でそれやれるかね」と述べたのだが、ところで国は困っている自国民を救済するための資金は全く無いのだろうかと訊ねたくなってしまう。
どうも首相を始めとする政治家のマスクの扱い方が気になる。記者会見などで一度外してポケットに入れてしまったマスクなどを彼らは再び付けているのか、それとも新しいマスクを付けているのか。大谷クリニックの医院長がマスクの扱い方を丁寧に説明していたのだが、扱い方次第でマスクは却って健康を損ねてしまうものになってしまうのである。「アベノマスク」とはそのような危うい象徴性を持っていると思う。
個人的には政府からマスクを送られてきても、外出するために身に付けるにはあまりにもダサすぎて表を歩けないから、ホームレス支援団体に寄付しようと思う。
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