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 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

川端康成と「眠れる美女」というアイドルについて

2023-02-11 00:58:14 | Weblog

 川端康成の新潮文庫版『眠れる美女』には表題作の他に「片腕」と「散りぬるを」が収録されており、三島由紀夫が解説を書いている。正直、三島の解説は難しくて上手く把握できないのだが、この文庫版は川端自身によって編まれたと書いている(p.247)。それを踏まえて感想を書いておきたい。

 「眠れる美女」の主人公の67歳の江口由夫が友人の木賀老人に教えられて訪れた宿は素っ裸の「眠れる美女」と添い寝ができる「秘密クラブ」のようなもので、未成年の処女と添い寝することで沸き起こる妄想を楽しむのである。
 「片腕」は若い娘から借りた右腕を主人公の「私」が自分の右腕と付け替えたりして楽しんでいる。
 「散りぬるを」は5年前に主人公の小説家の「私(当時34歳)」が、弟子だった瀧子(当時23歳)と蔦子(当時21歳)が就寝中に殺されたのであるが、犯人の山辺三郎(当時25歳)に対する感情は複雑で、証言によるならば山辺は2人の女性を強姦したわけではなく、最後まで関係は良好で二人とも処女のままだった。小説家が書いた本作はフィクションではあるが、山辺の供述にしても訴訟記録、精神鑑定報告、予審終結決定書にしてもフィクションであるとし、最後に以下のように自虐的に書いている。

「二人が脆く殺されたことに、お前が責任を感じないでか。お前はこの殺人事件を無意味なゆえに美しいと見たがりながら、いろんなしたりげな意味をつけた。二人の女をまことに愛しておらなかった証拠と知るがよい。この殺人を、三人の生涯になんの連絡もないもの、三人の生活になんの関係もないもの、つまりこの一つの行為だけが、ぽかりと宙空に浮んだもの、いわば、寝も葉もない花だけの花、物のない光だけの光、そんな風に扱いたかったらしいが、下根の三文小説家に、さような広大無辺のありがたさが仰げるものか。ざまをみろ。」(p.239-p.240)

 三篇に共通することは相手が若い娘であり、関係は良好なままで自身の欲望を満たせるということで、つまり「寝も葉もない花だけの花」とは「アイドル」であり、どの主人公もガチの「オタク」だから小説家は自分と同じ気質を持っている山辺を断罪できないと読めるのである。

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/yonhap/world/yonhap-20220823wow040


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