青信号になるやいなや芹川河口に建つ滋賀大の偲聖寮へと走った。日が落ちる前に「睨みの木」を確認しておきたかったのだ。私は下芹橋北詰付近に残る大きな木に近付き目を細めた。
強制的にあの世に送られる罪人が最後に睨みつけたという木はネット(スレッド)では既に伐採されたとの情報(カキコ)もあるのだが、交差点からよく見える木はこれ一本だけである。
寮の前から湖岸道路に出て犬を連れた初老の男性と出会った。私は見ず知らずの人に芹川の改修工事の際に人骨が多数発見された歴史を尋ねてみた。彼は10年以上も前に確かに新聞で読んだと言ったが、睨みの木については知らなかった。雨の中、気まずい雰囲気の二人を犬は不思議そうに見つめていた。
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